P30-31 市民編集員がお伝えします Citizen's Eye 企画・編集:市民編集員(小関裕子) もっと身近に! ふくろいのメロン 静岡県の温室メロンは、出荷量全国第1位を誇っています。 日本の贈答文化の中にあって知名度を上げてきた、高級果物・メロン。 地域に誇りと元気を与えてくれる特産品に、興味の幅を広げてみませんか? メロンのヒミツ  温室メロンは、通称「マスクメロン」と呼ばれています。「マスク」とは「ムスク(じゃこう)」のことで、じゃこうのように香りが素晴らしいところから名付けられました。イギリスのアールス・フェボリット品種にルーツがあり、「アールスメロン」とも呼ばれています。  アールス・フェボリットとは、伯爵(アール)のお気に入り(フェボリット)という意味。伯爵邸の農園で作られ、伯爵がこのメロンを愛好したことから命名されたそうですよ。  袋井では、大正時代に現在の堀越で温室メロン栽培が始まり、現在、温室メロンの全国有数の産地となっています。  「クラウンメロン」はメロンのブランド名で、県温室農業協同組合クラウンメロン支所に所属する生産者が育てています。地の利と、長年の研究による高い栽培技術に支えられたこだわりの逸品は、日本全国だけでなく海外へも出荷されています。 おいしさ+健康に効果アリ  薬膳の世界では、メロンは体の中の暑さや熱を取り、渇きや暑さによるイライラを静め、利尿効果もあるといわれているとか。暑がりな方やむくみやすい方にはお勧めだそうですよ(農林水産省ホームページより)。残暑対策にも役立ちそうですね。  「クラウンメロン」ブランドを育てた産地の力  温室メロン栽培に携わり45年目、生産者の渥美邦男さん(富里)にお話を聞きました。  父親の跡を継いだ渥美さん。ご自身が生まれたころは、温室はまだ木造だったそうで、温室栽培の歴史を感じます。  近年の燃料費高騰など、生産者が抱える課題は少なくありません。自然を相手に真剣勝負の毎日ですが、年に5回ある品評会での入賞をひとつの目標として、取り組んでいるそうです。 「理想としているメロンは?」の質問に、「味が一番ですが、外観も大事ですね」と渥美さん。クラウンメロンは外観から5つの等級に分けられますが、理想としている一番上の等級「富士」は、1,000個に1個あるかないかの貴重品だそうです。熟練生産者の渥美さんですが「毎年1から始める気持ちで取り組んでいます」と話されるほど、「富士」を作り出すには高度な技術が求められるそうです。  気になっていたのは、なぜ袋井で温室メロン栽培が広がり、ブランド力を持つまでに成長したのかということ。 「自然条件に恵まれていることもありますが、クラウンメロン支所では組合員全体のレベルを上げるため細やかな生産指導をしています。昔からそれを続けてきたからこそ、ここまでになれたのでは」と聞き、産地全体で守り育てたブランドの重みを感じました。 市民との接点 産地ならではのメロン  皆さんの日常生活の中にかいま見える、産地ならではのメロンの話題があります。 ナゴヤドームでのプロ野球中日ドラゴンズの試合で、ナイスプレー賞の賞品に、クラウンメロン支所がメロンを提供 市民への出産お祝い品のメロン 出生届を受け付ける市民課にお聞きしたところ、お祝い品は3種類から選べるそうですが、圧倒的にクラウンメロンが人気だそうです。 メロンを使用したお土産 メロンを使ったものがいろいろありますよ。クラウンメロン支所でも販売しています。 菓子用メロンピューレに加工 製菓材料用などに引き合いがあります。皆さんからのアイデアを形にして今年誕生した袋井おみやげにも、ピューレを使用しているものがありますよ。 小メロンって食べたことある?  小メロンも産地ならではのものです。  クラウンメロンの場合、まず1本の木に3個のメロンを交配させ、育つ過程で1個を選びほかの2個は取り除きます。それが小メロンです。鶏卵くらいの大きさで、新鮮なものがおいしいそうです。  市内の学校給食では、メニューに小メロンが使われることもあります。  漬物にしてもおいしいのですが、サラダにも向いているようです。キュウリより少し歯ごたえがあり、甘い香りがします。地元野菜の売り場などで見かけたら、一度試してみてはいかがですか?  クラウンメロン支所は、今年50周年を迎えます。クラウンメロン品評会への50人招待や、クラウンメロンの学校給食提供などの記念イベントも企画され、市民の皆さんがクラウンメロンと接点を持つチャンスもありそうです。 「袋井に引っ越してくるまでは、クラウンメロンのことを知りませんでした。初めて食べて、そのおいしさにびっくり」という市民の声も。まずはおいしさを体験し、地元産のメロンの活躍を応援していきたいですね。 市民編集員のひとこと メロン栽培を地元に根付かせた、生産者の皆さんの苦労に脱帽です。取材をきっかけに小メロンのサラダを食べてみました。ほのかにメロンの香りがしておいしかったです。(小)