P02-03 ベトナムとの交流が進んでいます ベトナムは、新たな可能性を秘めた国として、世界中から注目されています。2013年(平成25年)の「日本ベトナム友好年」を契機として、両国の良好な関係がますます発展していくことが期待されています。本特集では、袋井市とベトナムのつながりと交流の状況をお知らせします。 問 市民協働課協働推進室 TEL44-3107 袋井市とベトナムのかかわり  今年は、日本とベトナムとの間で1973年(昭和48年)に外交関係が樹立されてから40周年にあたります。  これまで、袋井市とベトナムの間には、どのような関係があったのでしょうか。 ◎浅羽佐喜太郎とファン・ボイ・チャウ  話は100年以上前にさかのぼります。1905年(明治38年)、当時フランスの植民地であったベトナムから、独立運動の指導者「ファン・ボイ・チャウ」が来日し、日本にベトナムの青年を留学させ、独立運動の人材を育成する東遊運動(トンズー運動)を興しました。しかし、このような動きに植民地支配への危機感を抱いたフランスは、日本政府に働きかけて、ベトナム人留学生への圧力を強めました。  困り果てたファン・ボイ・チャウは、東浅羽村梅山(現在の袋井市梅山)出身の医師で、神奈川県で病院を開業していた浅羽佐喜太郎に援助を求めます。佐喜太郎は、この申し出を快く受け入れ、物心両面からファン・ボイ・チャウを支援しました。  その後、佐喜太郎は、ファン・ボイ・チャウが日本を去った翌年に病気のため43歳で亡くなりますが、その死を知ったファン・ボイ・チャウは、感謝の気持ちを表すために、1918年(大正7年)に東浅羽村を訪れ、村人の力を借りて梅山の常林寺境内に「浅羽佐喜太郎公記念碑」を建てました。袋井市とベトナムを結ぶ義侠の精神は、今も語り継がれています。 ◎近年の袋井市とベトナムの交流  平成13年、「浅羽佐喜太郎公記念碑」建立85周年記念事業が開催され、21世紀の新たな日越交流の芽が生まれました。  これをきっかけに有志により結成された「浅羽ベトナム会」は、浅羽佐喜太郎公記念碑の歴史を広く内外に伝える活動として、ファン・ボイ・チャウが晩年を過ごしたベトナム・フエ市や生地であるゲアン省へ写真や記念碑を寄贈したり、佐喜太郎とファン・ボイ・チャウの関わりについての講演会や展示会を開催したりするなど、幅広い草の根活動を行ってきています。 ◎ベトナム大使来袋  平成19年9月、平成22年9月の2度にわたり、グェン・フー・ビン前駐日ベトナム特命全権大使が袋井市を訪れ、常林寺の浅羽佐喜太郎公記念碑などを見学されました。 日本ベトナム友好年を迎えて  これまでの交流を踏まえ、様々な分野でベトナムとの交流が始まろうとしています。 (1)袋井市ベトナム訪問団  これまでの郷土の偉人顕彰に加え、産業視察や現地行政機関との交流など相互理解と友好関係を深めるため、市民62人による国際親善訪問団が結成され、平成24年4月15日から19日までの5日間にわたり、フエ市、ハノイ市の2都市を訪問しました。 (2)2013国交樹立40周年交流事業(フエ市、ゲアン省)  平成25年6月には、日本ベトナム友好年交流行事として講演会や展示会、ドキュメンタリービデオの上映会などがフエ市とゲアン省ヴィン市で、浅羽ベトナム会と現地の関係団体との共催により行われました。  また、7月には、これまでの活動に対して、公益社団法人ベトナム協会から日越友好功労賞が、浅羽ベトナム会代表の安間幸甫さん(太郎助)に送られました。 交流活動の様子をまとめた写真展を開催します。 ◎月見の里学遊館 10月19日(土)〜29日(火) ◎メロープラザ  11月11日(月)〜20日(水) (3)ワンコイン・スクールプロジェクトへの参加  袋井市では、日本ベトナム外交関係樹立40周年にあたる今年度、市内全ての小・中学校で、郷土の偉人「浅羽佐喜太郎」について学ぶ時間を設けるとともに、ベトナムに関する国際理解教育を進めています。  また、浅羽南小学校と高南小学校の2校では、認定NPO法人アジア教育友好協会(AEFA)が進める「ワンコイン・スクールプロジェクト」への参加を通じて、ベトナムの学校との交流を計画しています。さらに、浅羽南小学校と高南小学校を中心に、ベトナムの山岳地帯に校舎を建設する事業に協力する取り組みも進めています。 (4)共同製作ドラマ放送  日本とベトナムの外交関係樹立40周年を記念して、2つの国のテレビ局(日本…TBSテレビ、ベトナム…ベトナム国営テレビ(VTV))が共同製作するドラマ「パートナー 〜愛しき百年の友へ〜」が、放送されます。 放送日時 平成25年9月29日(日)午後9時〜 出演者 東山紀之(浅羽佐喜太郎役)、武井咲、芦田愛菜、ファン・フィン・ドン(ファン・ボイ・チャウ役)、グェン・ラン・フォン ほか 内容 現代の日本とベトナムのビジネスや国際結婚、さらに100年前の日本とベトナムの知られざる史実〜浅羽佐喜太郎とファン・ボイ・チャウの絆〜を描き、国と国・人と人の交流を通して今後の日本とベトナムの関係をより良いものにするヒントを提案する、珠玉のヒューマンドラマ。(TBSホームページより) (5)産業交流  袋井市内の企業では、ベトナムの人材育成制度の趣旨に協力して研修生を受け入れている企業があります。  また、袋井商工会議所では、袋井市に訪れるベトナム商工会議所などの視察を受け入れるとともに、成長著しいベトナム経済に注目し、平成24年に引き続きベトナムの現地視察を計画しています。 市内企業による研修生受入(平成24年11月) (株)サンワネッツ(1人)、(株)覚堂(4人) ベトナム国際ビジネスセミナーの開催(平成23年11月) ベトナム経済の現状と展望、日越経済協力について ベトナムからの視察受入(平成24年11月) ベトナム商工会議所、ベトナム国クアンニン省 現地視察計画 袋井商工会議所アジア産業交流委員会では、ベトナム産業経済の交流について、平成25年10月下旬に視察を計画しています。 (6)留学生  現在、袋井市内では、静岡理工科大学で4人、静岡国際言語学院(諸井)で27人のベトナム人留学生が勉強しています。  また、浅羽南公民館でも、ベトナム人実習生が日本語を学び、日本語能力検定に合格しています。  このほか、ベトナムからの留学生たちへの袋井生活体験の短期ホームステイ事業も、国際交流協会と浅羽ベトナム会の共催事業として行われており、今年は5回目となります。 袋井市とベトナムの今後  経済のグローバル化と東アジア各国の急速な経済成長の影響は、衣類や食料品など私たちの日常生活の身近なところにも現われています。これからは、「モノ」だけではなく、「ヒト」・「情報」・「文化」などへ交流の幅が広がっていくと予想されます。  袋井市ではこれまで、100年前の浅羽佐喜太郎とファン・ボイ・チャウのつながりから、市民団体による偉人顕彰交流が進められてきました。  今後は、日本ベトナム友好年を1つの契機として、市民レベルでの交流のほか、産学官それぞれの分野での交流のネットワークをいかに広げ、友好関係の持続と新たな交流機会を創出していくことが大切になります。  市では、関係する団体と連携し、多くの市民の皆さんに参加いただきながら、今後の社会・経済情勢を踏まえた国際交流を進めていきます。