P02-03 市民と行政のパートナーシップによる地震対策H 話し合いの結果を、具体的な取り組みへ 地震対策の取り組みを振り返って 4月から始まった「市民と行政のパートナーシップによる地震対策」の取り組み。 連載最終回となる今回は、1年にわたる地震対策の取り組みを振り返ります。 問 防災課防災係 TEL44-3108 市民協働課協働推進室 TEL44-3158 「市民と行政のパートナーシップによる地震対策」これまでの経過 地震対策地域意見交換会 4月〜 市災害対策本部の各支部19地区で実施 パートナーシップによる地域防災対策会議 7月〜 各地域の地震対策の課題や対応方法を検討 市災害対策本部での各種災害対応の見直し 津波被害軽減対策検討会・液状化被害軽減対策検討会 地震対策の新たな取り組みの骨子を策定(H23.12月) 「袋井市地域防災計画」の見直し(H24.3月) 今、ココ! 1地震対策地域意見交換会の開催  地震に対する不安や地域の課題、その対応策などについて、各地域、関係機関、企業・事業所、団体などと意見交換を行った「地震対策地域意見交換会」。昨年4月から行われた意見交換会は、市災害対策本部の各支部19地区で、延べ26回開催し、1,296人(地域代表者1,037人、市職員259人)が参加しました。 意見交換会で出された主な意見 @東海・東南海・南海連動型地震による被害(震度・津波・液状化など)の規模に対する不安 A災害弱者(子どもや要援護者など)の把握や地震発生時の対応 B地震発生時の安否確認方法や避難方法が決まっていないことへの不安 C浜岡原子力発電所の被災や爆発などによる被害への不安 2パートナーシップによる 地域防災対策会議の開催  「地震対策地域意見交換会」に引き続き、7月からは「パートナーシップによる地域防災対策会議」を開催しました。  延べ79回開催し、2,235人(地域代表者1,578人、市職員657人)が参加したこの会議では、意見交換会で出された意見をもとに、自助・共助・公助の役割分担を整理しながら、地震対策の課題や対応方法について話し合いました。 自分の命は自分で守る 自 助 自分と家族 域住民が相互に助け合う 共 助 地域・自治会 行政機関による防災活動 公 助 行政機関 地域独自の取り組みも進展  地域防災対策会議で、各地区の課題と問題点、新たな防災対策の具体的な取り組みが報告される中、地域独自の地震対策の活動も進められました。  海岸から1・5q以内にある浅羽南地区では、住民の命を守ることを目的として「津波から命を守る幸浦プロジェクト」が5月に設立され、15回にわたって会議や訓練を実施しました。この中では、「浅羽南(幸浦)防災まちづくり構想」の策定や津波避難対策などについて市への提言が行われました。  また、川井東自主防災隊では、家族全員の無事を知らせる「黄色旗」を、各住宅の軒先に掲げる安否確認訓練を毎月1日に実施。大規模な災害が発生した場合の自治会住民の安否確認は、このほかにも「避難者カード」や「黄色いハンカチ」など、各自主防災隊が地域の実情に応じた方法で実施しています。 地域の課題・問題点の抽出と 新たな取り組みのスタート  「地震対策地域意見交換会」や「パートナーシップによる地域防災対策会議」を通じて、各地区では様々な話し合いが行われました。その結果、地区の課題や問題点として175項目、新たな防災対策の具体的な取り組みとして375項目が、市へ報告されました。  また、ほかの地区での取り組みを参考に、安否確認のための黄色いハンカチ運動の実施や、家庭内の家具転倒防止についてのアンケート調査と家具固定の徹底運動を実施する地区も見られるようになるなど、地震対策の取り組みが着実に広がっています。  話し合いの結果を、具体的な取り組みとして今後の地震対策に活かしていくことが、「市民と行政のパートナーシップによる地震対策」の取り組みの大きな成果でもあります。 ▽新たな取り組みとして挙げられた項目 自助 家庭の取り組み…111項目 共助 地域の取り組み…122項目 公助 行政の取り組み…142項目 ▽具体的な取組み 家具転倒防止、備蓄品(食料・飲料水)の確保、自主防災活動マニュアルなどの作成、家屋の耐震補強、災害時要援護者への支援強化、防災台帳(世帯台帳・人材台帳など)の作成など 4行政への要望事項  各地区での話し合いでは、地区の課題や問題点と併せて、行政への要望事項も取りまとめられ、206項目が報告されました。この中では、発災前・発災時・発災後それぞれの対応や、ハードとソフトの両面から要望が出されました。 要望 津波避難施設(避難タワー、「平成の命山」など)の整備を早期に実施してほしい 回答  現在、民間施設(アパートや事業所施設など)の一時避難施設としての使用に関する協定締結や、公共施設などの既存施設を活用した避難場所の確保対策を図っています。  また、今後実施する津波シミュレーションや新しい被害想定の内容などを踏まえながら、浸水想定区域や避難困難地域を中心に、高台など避難場所の整備を進めていきます。 要望 食料などの備蓄に加えて、仮設トイレや照明設備なども避難所ごとに整備してほしい 回答  すでに行っている防災備蓄品(食料・飲料水・毛布など)に加えて、仮設トイレや非常照明灯設備、発電機付き投光機などについても、順次、追加整備を図っていきます。  また、企業や事業所などとの災害時応援協定の締結を進め、緊急物資などの確保に努めていきます。 5津波・液状化 被害軽減対策検討会の実施  市では、東日本大震災で大きな被害をもたらした、津波・液状化による被害の軽減を図るため、学識経験者や県と市の関係者、地域代表者らで構成する「津波被害軽減対策検討会」と「液状化被害軽減対策検討会」を設置し、協議を進めてきました。 津波被害軽減対策検討会 津波対策関連施設の整備状況や防災計画の内容確認から始まり、「袋井市津波避難計画書」などを協議。今後も、さらに避難計画の内容検討を進めていきます。 液状化被害軽減対策検討会 「液状化ゾーニングマップ」の作成、国による「液状化対策技術検討会議」での対策工法などの調査研究結果を踏まえた社会基盤施設ごとの対策検討を進めています。 6地震対策の 新たな取り組みの骨子を策定  12月には、これまでの地震対策の取り組みを振り返るとともに、@東日本大震災による被害A地震対策地域意見交換会や地域防災対策会議での市民の皆さんからの意見・要望B津波と液状化の被害軽減対策検討会での検討結果の3つの視点から、地震対策の見直しを行いました。  その結果、地震対策の新たな取り組みの骨子・主要施策10項目が策定されました。 新たな取り組み骨子・主要施策10項目 NEW @津波被害への対策…津波避難計画の策定や津波避難施設の整備など、津波対策を推進します。 NEW A地盤災害(液状化被害など)への対策…「液状化ゾーニングマップ」の作成など、液状化対策を推進します。 NEW B原子力災害への対策…情報収集・連絡体制整備や安定ヨウ素剤の備蓄、啓発活動などを推進します。 C公共施設の地震対策 D一般住宅の地震対策 E防災関連施設・設備の整備 F地域防災力の強化 G医療救護の対策 H市民への広報啓発と情報伝達の迅速化 Iライフラインなど今後の対策 袋井市地域防災計画の見直し  これまでの取り組み内容を反映させながら、袋井市地域防災計画全体の点検・確認を行い、見直しを進めます。  また、今回新たに策定した「地震対策の新たな取り組み骨子・主要施策」を重点的に推進するための見直しも行い、3月22日に開催する袋井市防災会議で協議と承認を受けます。  なお、今回の防災計画見直しは、現時点で想定されている静岡県の東海地震第3次被害想定を基本としています。今後、国の防災基本計画の改定や静岡県の第4次被害想定が発表された際には、改めて見直しを実施します。