P4-5 学ぶ楽しさ!学ぶ喜び!学ぶ実感! 〜「わかる」って楽しい!授業ってこんなにおもしろい!〜 子ども一人ひとりの 「わかる」を大切にした授業を目指して! 新しい学習指導要領(※)が、小学校は平成23年度から、中学校は平成24度から完全実施されました。 新学習指導要領は、「次代を担う子どもたちが、これからの社会において必要となる『生きる力』を身につけてほしい」 という理念のもと、知識や技能の習得とともに思考力・判断力・表現力などの育成を重視しています。 今回は、新学習指導要領に対応する市の取り組みを紹介します。 問 学校教育課指導係 TEL44-3182 1 「わかる授業」を目指して、小中学校のつながりを大切にしています  袋井市では、新学習指導要領の完全実施を受け、小学校と中学校のつながりを意識した確かな学力を育成するため、「子ども一人ひとりの『わかる』を大切にした授業づくり」を進めています。  「わかる授業」って何? 〜3つの視点〜 @ 「覚える」「暗記する」だけではなく、「考える」活動がある授業! A 自分の考えや思いが、「話す」「書く」「表現する」といった活動で広がる授業! B 「わかった」という実感をもとに、基本的な知識や技能が身につく授業! 2 教員を対象に、「わかる授業」研修会を開催しています  従来の授業参観(研修会)は、小学校の教員なら小学校の授業を、中学校の教員なら中学校の授業を参観するというように、同じ校種を参観するのが通例でした。  一方、市が取り組む「わかる授業」研修会は、小中学校の教員が一緒に授業を参観し、参観後にすべての教員が「わかる授業」の視点をもとに、より良い授業について話し合います。同じ視点で話し合うことで、児童生徒への理解を深め、子どもの発達段階に即した授業のあり方について理解を深めたり、小中学校連携の意識を高めたりしていきます。  さらに、袋井市では、教育心理学の分野で全国的に著名な鹿毛雅治先生を講師として招き、専門的な視点から、校内研修のあり方の指導を受けています。  このような研修は、教員の力量がアップする貴重な機会となり、それぞれの学校・学級での授業に反映されることで、子どもたちの学力の向上につながっていきます。    鹿毛雅治先生の紹介 ◇慶應義塾大学教職課程センター教授 ◇専門は教育心理学 ◇著書に「教育心理学の新しいかたち」「子どもの姿に学ぶ教師」などがあり、全国の学校の校内研修指導に携わっています。 3 「わかる授業」研修会を紹介します  「わかる授業」研修会の推進校となっている浅羽南小学校と浅羽中学校で、「わかる授業」研修会が6月に開催されました。市内の小中学校の教員約120人が参加し、講師の鹿毛教授の講演を含め、充実した研修会を行いました。 ステップ1:「わかる授業」のメインは「考える」活動です @浅羽南小学校の授業のひとコマ  5年生で国語の授業を行いました。教材名は「百年後のふるさとを守る」。  子どもたちは、津波から村を守った人物の伝記作品を読み、感じたことや思ったことをお互いに意見交換することで、自分の考えを友達に伝えることの良さや楽しさを味わうと同時に、自分の考えとの違いや新しい考え方に気付くことができました。 ※学習指導要領…文部科学省が、各教科で教える内容を学校教育法施行規則の規定を根拠に定めたもので、その内容に基づいて、各学校は授業時数や授業内容といった教育課程を作成・実施しています。 A浅羽中学校の授業のひとコマ  2年生で理科の授業を行いました。単元名は、「酸素がかわる化学変化」。  二酸化炭素中でマグネシウムを燃焼させる実験を通して、化学式について考えました。化学式や原子・分子モデルを用いながら、「燃える」という現象を言葉で説明することの難しさを感じることで、科学的な考え方が培われました。 ステップ2:ちょっとした子どもの行動を記録します  「わかる授業」研修会の中心は何といっても授業です。授業のねらいは何か、どんな工夫があるのか、子どもたちが「何を」「どのように」考えているのか、参観した教員は気付いたことを記録していきます。この記録が、後の授業のふり返りのときに大きな役割を果たします。 ステップ3:全員でふり返る今日の「わかる授業」  参観した教員全員で、子どもの学びの道筋をたどっていきます。ここで、付箋にメモした授業の記録が生きてきます。「○○さんは〜と書いていたよ」「△△さんが、〜とつぶやいていたなぁ」「先生が質問した瞬間に、□□さんはノートに自分の考えを書き始めていたね」など、子どもの行動をもとに、授業をふり返っていきます。このふり返りが授業を行った教員と参観者の力量をアップしていきます。 ステップ4:専門的な視点からの指導・助言  鹿毛先生に、教育心理学という専門的な視点から、授業や授業後のふり返りについての課題を整理・提案してもらうことで、校内の研修がよりいっそう深まっていきます。 【鹿毛先生からの助言】 @「わかる」充実感を大切に…自分の思い・考えを持たせるだけでなく、それを表現することが大切です。自分の内面を外に出す活動を設定することで、子ども一人ひとりの「わかる」充実感を支えていくことができます。 A授業の「しかけ」を大切に…授業の中で、教師は「モデルを示す」「話し合いをする」など、多種多様な「しかけ」を用意します。その中でも、今日の切り札ともいえる「しかけ」を、どんなタイミングでどうやって示すかがポイントです。子どもの学びを促すための、最良の方法を考えましょう。 Bプロセスを大切に…学習というものは、つい結果で評価してしまいがちです。「計算ができた」「たくさん書けた」といったことももちろん大切ですが、授業の中では、何をどう考えたのかというプロセス(過程)が大切です。プロセスを評価できる教師を目指し、市の提唱する「わかる授業」を目指してほしいと思います。 ●「わかる」授業研修会に参加した教員の感想  子ども一人ひとりの学びを見ていくことで、「授業を見る」ことの楽しさを感じることができた。  小学校と中学校の授業の違いや、子どもの行動や反応について知ることができた。小学校でも中学校でも、授業の中で「わかる」実感を味わうことの大切さに変わりはないと思った。  子どもに対する自分の今までの見方が、いかに薄く表面的なものであったかを実感させられた。子どもが何を表現し、その背景にどんな考えがあったのかを、しっかり捉えていくことができる教員になりたい。