P28-29 市民編集員がお伝えします Citizen's Eye 企画・編集:市民編集員(小関裕子) ふくろいの公共交通 あなたのおでかけの足は? 用事があって外出したいのに、移動手段がなくて困ったことはありませんか? 自家用車を運転しない人にも、気軽に利用できる公共交通。 身近にあると便利ですよね。 市内のバスに乗ったことはありますか?  昭和40年前後に、路面電車の秋葉線や軽便鉄道の駿遠線に代わって登場したバスは、市内の公共交通の重要な役割を担ってきました。その後、マイカーの増加によりバスの乗客数が減っていくと、バスの路線数や1日の便数も少なくなり、現在、市内の路線バスは自主運行バスを含めて18路線のみとなっています。  路線バスを補う目的で開始された自主運行バスですが、目的地までの運行時間が長い、便数が少ないなどの課題を抱え利用は伸び悩んでいるのが現状です。  中東遠総合医療センターの開院に合わせた、自主運行バスと民間バス合計3路線の新設、市内2地域での地域協働運行バスの運行開始など、市民の移動手段確保への模索は続いています。 市内公共交通のこれから  市では、市内公共交通について、民間バス路線・自主運行バス・協働運行バス・デマンドタクシーを、地域に合わせて組み合わせていければと検討しているそうです。平成26年度からは、静岡理工科大学と協力した、市内公共交通の最適化研究事業も始まっています。  今秋には袋井駅南北自由通路が完成予定で、駅周辺の道路整備も進められていくようです。おでかけの機会が広がる、利用者目線の公共交通(移動手段)が育っていくといいですね。 “その地域にあったやり方で”地域協働運行バス  市内2地域で協働運行バスが走っています。運賃は無料、運転は地域の人たちがボランティアで担当しています。 浅羽東地区を走る「めだか号」 ◎浅羽東公民館でお話を聞きました。  浅羽東地区は民間バス路線が廃止となり、高齢者や自家用車を運転しない人が買い物や通院するための移動手段が必要でした。この地区は、住宅地がまとまっていて、公民館を中心に「めだか号」を運行しやすかったそうです。10人乗りのワゴン車で平成22年から運行が開始され、月〜金曜日、1時間ごとに浅羽東地区を中心に走行しています。  利用したい場合はあらかじめ会員登録をし、原則前日の昼までに公民館へ電話で予約します。各自治会に数か所あるバス停で乗降し、利用者の希望に応じてルートを決めて運行しています。本地区の生活圏は磐田方面への移動も多く、磐田市内へ行く路線のバス停やホームセンターへの希望にも対応しているそうです。「利用者の希望が重なった時や時間が決まっているバスへの乗り換えなど、調整が大変ですが、日常の手助けを目的に臨機応変に対応しています」と原幹雄館長。小さなお子さん連れでも、ちょっと車を置いて出掛けたい時でも、気軽に利用してもらって認知度をアップし、「めだか号」をかわいがってもらうことを大事にしていきたいそうです。 ◎「めだか号」に体験乗車しました。  乗り合わせた利用者のお2人は「週1回程買い物などで利用しています。運転手さんが親切にしてくれます」と話してくれました。乗り心地良く、快適でしたよ。 三川地区の見守り隊「かわせみ」  三川地区では平成25年2月から、「かわせみ」の運行を始めました。 ◎三川地域協働バス運行委員会の皆さん(寺田進彦さん、鈴木勇男さん、山ア幸夫さん)にお話を聞きました。  市民病院の移転の話をきっかけに、協働バスの運行について地域で話し合い、三川の地形条件などから考え、ドアツードアをコンセプトに運行しています。  高齢で移動手段の確保が難しい人が事前に会員登録をし、月〜金曜日、2方面の運行時間を設定して会員の自宅と目的地との送迎をします。  利用したい場合は、利用日の前週の土曜日午前中までに、公民館へ電話予約をします。  高齢世帯が多く、約8割が通院のために利用しているとのこと。単なる送迎だけでなく、地域福祉全体を考える状況にもなってきているそうです。 「地域の足だけでは終われない覚悟で取り組んでいます。長く続けるために、どこまで利用者本位でいくかという課題はありますが、次の世代には自分たちが後部座席に乗せてもらえる、そんな息の長い事業になれば」と運行委員の皆さん。  月に数回、通院などで利用しているという寺田太一さんは、「いいことをやってくれてありがたいです」とうれしそうでした。 市民の足を守る  市は静岡理工科大学と包括連携協定を結び、平成26年度から、市内公共交通最適化事業が始動。大学の情報技術の資源を活かし、利用者需要に合わせた交通の研究を行っています。地元の大学が一緒になって地域の課題に関わっていくということに、心強さを感じました。  同じ市内でも、住む地域によってバスを利用する必要性がなかったり、バス停が近所にあったり、状況は様々です。今は大丈夫でも、いつか直面するかもしれない「自分ごと」の課題として、地域みんなで考える機会を持っていきたいですね。 静岡理工科大学との包括連携協定締結とは? 地域課題の解決や地域産業の活性化をはじめ、様々な分野において協力し、地域社会の発展と人材育成に寄与することを目的としています。 市民編集員のひとこと 自家用車以外の移動手段が必要になった時、頼りになるのは公共交通ですよね。少しずつでも路線バスを利用するなど、できることから応援していきたいと思いました。(小)