P28-29 Citizen's Eye 日常を五・七・五でつぶや句 俳句をつくってみませんか? 市民編集員がお伝えします 企画・編集:市民編集員(小関裕子) おーい、袋井の俳句 JR袋井駅前には、正岡子規が袋井を詠んだ句、「冬枯れの 中に家居や 村一つ」の句碑があります。句碑は昭和32年、当時地元にあった八雲会によって建立されました。句の文字は子規自筆から転写、題字は袋井の偉人・川村驥山の書、肖像画のレリーフは人間国宝・香取正彦によって手掛けられています。  郷土誌「ふるさと袋井」に寄稿された句碑建立にまつわるエピソードによれば、「冬枯れ…」の句は、子規が生涯に詠み公表されている1万8千余句の中のひとつで、高浜虚子の計らいで正岡子規自筆の複写を入手し、碑に刻んだ経緯などが語られています。 「生活にも余裕のなかった時代、難しい条件の中での建碑には、八雲会の皆さんの熱意の程が伺われる」ともあり、当時から袋井で俳句が盛んだったのではと想像できます。平成の今も、市内には俳句を楽しむグループが多くあります。  近年、俳句は若い世代にも広がりを見せ、市内の小・中学生が授業で取り組んでいるのはもとより、企業などによる俳句作品の公募が行われたり、高校生の俳句大会「俳句甲子園」が話題にあがったりしています。  話題にあがれば、関心も集まります。自分を表現できる手段のひとつとして、気軽に楽しく俳句をつくりたいですね。 俳句の面白さのヒミツ   平成26年度メロープラザ市民提案事業の中に、「ふるさと袋井のことば遊び(俳句づくり・かるた遊び)を楽しもう」(新袋井フォーラム企画・運営)があります。目的の1つに市民の俳句への関心を高めることがあり、8月には俳句づくり教室を実施。講師を務めた村松達也さんに、俳句づくりのコツを聞きました。  俳句歴約20年の村松さんいわく、「俳句は五・七・五のリズムに乗せて季語をほめるもの」とか。(季語とは、俳句などで用いられる季節を表す言葉のこと)  俳句は季語をほめるもの @季語のいいところ・面白いところをそのままほめる A季語とほかのものを取り合わせてほめる  教室ではコツの説明後、参加者が俳句をつくり、句会をして楽しみました。 「句会では、自分の句が出て来るとわくわくして、ほめられると俳句をつくる意欲がわきます。つくって楽しい、句会をやって楽しい。いい句ができると自分のアルバムの1ページとして残ります」  初心者へのアドバイスとしては、「飾らない言葉でつくること。つたないくらいのほうが言葉は強いですね」  新聞の投句欄などに思いがけず知り合いの句が載っていることもあり、俳句はどこか向こうの世界ではなくすぐそこにあるもの、とのこと。「季語に興味が持てると、季節の行事に関心が向き、日々の暮らしが行動的になります。人生も楽しくなりますよ」と村松さん。  俳句を心から楽しんでいるお話に、私も俳句の面白さを再発見した気分です。 小学生もつくっています  市内の高南小学校の昇降口には、全校児童の俳句作品が掲示されています。春夏秋冬の年4回、句の日を決め、子どもたちが俳句づくりに取り組んでいます。  俳句担当の齋藤奈奈教諭によれば、句の日には俳句の時間を設け、季節の言葉を出し合ってみたり、教室から場所を移動してみたり、クラス独自のスタイルで俳句づくりに親しんでいるとのことです。短い言葉の中にあるストレートな思いに、「この子にはこんな一面もあるのか」と驚かされることも多いそうです。  句の作成時には、クラスごとに大賞を選びます。俳句からは季節や人の思いを知ることができ、友だちの作品をお互いに読み味わう楽しみも体験しています。 「俳句づくりで素直に出てきた言葉を先生やほかの子どもたちに受け止めてもらい、1人ひとりが認められているという満足感を得られる。だから子どもたちは俳句づくりが好きなんだと思います」  齋藤教諭は、日ごろから、言葉を発する力になる「伝えたい気持ち」を育てることを大事にされているとか。句の日は、気持ちに押されて言葉になった作品を、みんなで楽しむ大切な日なんですね。 俳句へのアプローチいろいろ 10月8日に実施された新袋井フォーラム企画の俳句イベント、「皆既月食を見ながら俳句をつくりませんか?」に行ってきました。あいにくの曇り空でしたが、皆既月食最大時には、隠れた月が赤黒色に見えました。観察の合間に多くの俳句が出来上がり、はり出されていました。 市民編集員のひとこと 俳句は意外に身近で、難しく考えず気軽に楽しむことができそうだなと思いました。子どもの作品は本当に面白く、何気ない瞬間を上手に切り取って言葉にしていましたよ。(小)