P30-31 市民編集員がお伝えします Citizen's Eye 袋井で手作りみそを楽しむ 「手前みそ」とは、自家製のみその味を自慢することからきた言葉です。 みそは日本の食卓に欠かせないもの。手作りみそへの根強い人気も耳にします。 みその魅力、再発見してみませんか? 日本の伝統食みそはすごい!  みそは、家族1人に1斗(18kg)、客に1斗を年間の仕込み量の目安にし、それぞれの家で作っていた時代もあったそうです。江戸時代の書物「本朝食鑑」では、みそは健康を守る効果があり「1日もなくてはならないもの」としていました。  みその年間消費量は、平成25年では1世帯あたり5・9kg(総務省統計局「家計調査年報」より)。市販のみそを購入することが多くなっていますが、手作りみそも人気です。市内にはみそ作りができる施設がいくつかあり、地元産の大豆や米を使ったみそ作り講座や仲間同士でのみそ作りが行われています。学校給食に地元産のみそが登場する日もあります。  市健康づくり政策課・管理栄養士の塩原さんによれば、みそは発酵食品で、微生物などの働きによって大豆よりも消化吸収されやすいそうです。「がんを予防する」「生活習慣病のリスクを下げる」など様々な研究報告があるとか。 「みそ汁は塩分が多いというイメージがありますが、だしをしっかり取ったり、具だくさんのみそ汁にすることで、塩分摂取を控えることができます。ご飯と具だくさんのみそ汁に、納豆や卵などをプラスすることで、簡単にバランスのよい朝食になりますよ」と塩原さん。  皆さんも、みそのパワーを朝食の習慣づくりに役立てましょう! 自分で作ったみそがおいしい!  1月にメロープラザで「米麹作りから始める味噌づくり」の講座があり、3日間かけて1人約10kgのみそを作りました。  1日目は米こうじ作り。2日目は米こうじを混ぜる作業と、大豆を洗い水に浸す作業。3日目は大豆を煮て、米こうじと塩を入れて混ぜ、ミンチして樽に仕込みます。発酵・熟成の期間を経て、約半年後くらいにみそが完成するそうです。  講師の寺下恵美子さんがみそ作りを始めたのは、いただいた手作りみそがきっかけとのこと。平成2年開館の農村環境改善センター(現在の浅羽西公民館)にみその加工室ができました。そこでみそ作り講習を受けた知人からいただいたみそが、家族に好評だったため、お願いしてみそ作りを教えてもらったそうです。 「みそを自分で作ると、愛情というエッセンスが入り、ついつい人に差し上げたくなります。『おいしいね』と感想をもらい、また作ろうとパワーがわきます」  講座参加者からの『おいしい』という感想はもちろん、一度みそ作りを始めた皆さんのほとんどが毎年みそ作りを続けていることが、寺下さんの「みそ作りお手伝い」の原動力となっています。 「袋井市は大豆も米も地場でとれ、手作りみそは、安心して食べることができる地場産品です。1年に3日間頑張ると、1年分のみそを手に入れられますよ」と話してくれました。  今回の講座はリピーターが多く、「手作りみそがおいしくてまた参加」「人にあげたら足りなくなった」「子どもがみそ汁を飲み干すようになった」と、話は尽きません。講座終了時には参加者同士が誘い合って次回の話がまとまり、みそ作りの輪の広がりを私も実感しました。  おいしいみそになるのだからと、大豆も米もひと粒ひと粒大事にしていた参加者の皆さん。みそへの愛情に脱帽です。 食べたことある? 金山寺みそ  ふるさとの味・金山寺みそは、県西部では、地域によって金山寺納豆とも呼ばれているようです。  市健康づくり食生活推進協議会で、食に関わる活動に参加している青木佳代子さんに、金山寺みそについて聞きました。  金山寺みそのことは「金山寺」と呼んでいるという青木さん。JA遠州中央袋井女性部にも所属し、そこで金山寺みその作り方を覚えたのがきっかけで、仲間と手作りするようになったそうです。 「地元の仲間5人程で集まり、JA遠州中央袋井の工房を利用して作ります。金山寺こうじ・野菜・調味料を混ぜ、熟成させれば金山寺みその完成です。金山寺こうじも手作りで、香ばしく煎った大豆・米・小麦を蒸し、金山寺用のこうじ菌を混ぜます。出来上がるまでには、みそのこうじと同じように3日程かかります」  青木さんの金山寺みそは、ナス・キクイモ・ニンジン・ショウガなどが入っていて、具だくさんの仕上がりです。具材のナスは、たくさん収穫した時に塩漬けにして冷凍するなど工夫しています。こうじも冷凍保存できるそうです。 「手作りだから、好きなものをいっぱい入れることができます。みんなで作るから楽しく、何よりおいしいですよ」 オリジナルの味 あなたの家庭のみそ汁  みそ汁は手軽な料理。みそ玉(1人分のみそ・だし・具をラップに包んだもの)を作りおけば、お湯を注ぐだけで好みのみそ汁が簡単に出来上がります。  取材でお会いした皆さんに、好きなみそ汁の具を聞いてみたところ、「豆腐と油揚げ」「ジャガイモとタマネギ」「野菜たっぷり」「キャベツのみそ汁に天かすをトッピング」など、人それぞれに思い入れの味があり、楽しくなりました。  みそは、仲間と一緒に仕込んでも、持ち帰れば家庭ごとに違う味に出来上がります。袋井で仕込めば袋井の味になり、仕込んだ地域になじむみそ。手作りみそがおいしいのは、袋井の味になっているからかもしれませんね。 市民編集員のひとこと  みそ作り講座では、蒸した米やゆでた大豆のいいにおいに心地よさを感じました。地元の野菜を使ったみそ汁や金山寺みそがあれば、毎日の食卓が豊かになりそうです!(小) 企画・編集:市民編集員(小関裕子)