P04-07 〜将来にわたり、公共施設を安全で便利に使い続けるために〜 「袋井市公共施設白書」を作成しました 人口の増加や市民ニーズなどに対応するために整備してきた公共施設の多くで、老朽化が進んでいます。将来にわたって公共施設を安全で便利に使い続けていくためには、上手に工夫して取り組むことが必要です。 「袋井市公共施設白書」(以下、「公共施設白書」とします)は、公共施設に関する現状や課題を多くの皆さんと共有し、今後どうしていくべきかを一緒に考えるために作成したものです。 本特集では、「公共施設白書」の概要をお知らせします。 問 企画政策課企画室 TEL44-3105 公共施設白書の目的 ▽公共施設を取り巻く現状  袋井市では、人口の増加や市民ニーズなどに対応するため、保育所・幼稚園・学校・公民館・スポーツ施設・市営住宅など様々な公共施設等(※)の整備を進めてきました。  しかし、現在、公共建築物の約半数が建築後30年を経過するなど老朽化が進んでおり、近い将来、大規模改修や建て替えなどに多額の費用が必要となってきます。  さらに今後は、少子高齢化や人口減少などに伴い、社会保障費などの歳出の増加や市税などの歳入の伸び悩みが見込まれることから、公共施設等の整備費用が十分に確保できない財政状況にあるといえます。  また、市民のライフスタイルやニーズの変化などに効率良く対応できるよう、公共施設等のあり方を見直すことも求められています。 ▽現状を共有化し、一緒に考える  こうした状況の中、市民の皆さんと公共施設等の現状に関する情報を共有化するとともに、今後の公共施設等のあり方を検討する基礎資料として活用するために作成したのが「公共施設白書」です。 (※)本白書において「公共施設等」とは、公共建築物(いわゆる「ハコモノ」)のほか、道路や橋りょう・上下水道などのインフラ施設も含むものとします。 公共施設白書の活用  「公共施設白書」では、本市の人口推移や財政状況、公共施設等の全体の現状、今後必要となる更新費用と確保できる予算との差を埋めるための方策などを整理しています。  今後は、「公共施設白書」に整理された課題や解決策を踏まえ、適正な公共施設等のあり方を検討する「公共施設マネジメント」に計画的に取り組んでいきます。 対象とする公共施設等  「公共施設白書」の対象とする公共施設等は、平成26年11月現在で市が所有する公共建築物やインフラ施設です。 市が所有する公共施設には、次のようなものがあります。 種別 施設の例 学校教育・子育て施設 小・中学校、保育所、幼稚園など 文化・社会教育施設 公民館、月見の里学遊館、図書館など 保健・医療・福祉施設 保健センター、病院、老人福祉センターなど スポーツ施設 体育館、体育センター、B&G海洋センターなど 公営住宅 市営住宅など そのほかの施設 市役所・支所庁舎や消防施設のほか、広くは道路や橋りょう、上下水道などのインフラ施設も含みます。 公共施設の保有状況は? ◇袋井市の保有する公共施設のうち、公共建築物は131施設、総延べ床面積は232,822平方メートルで、エコパスタジアムの約2.8倍となっています。 ◇類型別に保有状況を見ると(図1「類型別の建築物総延べ床面積の保有割合」参照)、学校教育施設が最も大きな割合を占めており、延べ床面積は約104,642平方メートルで全体の約45%を占めています。 公共施設等に関する現状と課題 @人口の見通し  本市の人口は、今後減少していくことが見込まれていることに加え、年齢区分別人口の構成割合を見ると、少子高齢化が進むことが見込まれています(図2「年齢区分別人口の構成割合」参照)。  このような人口の変化に伴い、公共施設等による公共サービスに対する需要も変化していくことが想定されます。 A財政の状況  歳入は、現状では著しい増減は見込まれていませんが、今後は人口(特に、生産年齢人口)の減少などにより、税収の増加を見込むことは困難です。  一方、歳出は、少子高齢化の進行などにより扶助費(児童・高齢者・障害者・生活困窮者などを援助するために要する経費)の増加が見込まれる反面、公共施設などの社会資本を整備するための経費である投資的経費の財源確保はさらに厳しくなることが想定されます(図3「歳出状況の推移」参照)。 B公共建築物の築年別整備状況と老朽化の状況  公共建築物の築年別整備状況を見ると、昭和44年2月に東名高速道路・袋井インターチェンジが開設された時期以降に整備された施設が多いという特徴があります。特に昭和50年代には、学校教育施設を中心として多くの施設の整備が集中しています(図4「築年別の整備状況」参照)。  このため、これら同時期に整備された施設の更新時期が集中的に到来することが懸念されます。  また、建築経過年別の延べ床面積を比較すると、半分以上の施設が、一般的に大改修を必要とする「建設後30年以上」を経過していることが分かります(図5「建築経過年別の延べ床面積」参照)。  このようなことから、近い将来に訪れる多額の財政負担を要する施設の更新や、施設の老朽化に伴う事故発生リスクなどに的確かつ効率良く対応するため、今から計画的に取り組んでいく必要があります。 公共施設等を将来新しくする費用の見込み @公共建築物の将来更新費用  公共建築物の将来更新費用は、今後40年間で総額1,081億円、1年当たりで27億円と推計されました。  これに対して、直近5年間平均の既存施設更新投資額は13・1億円で、今後はこの約2・1倍の更新費用が必要と見込まれていることになります。  また、将来必要とされる更新費用は、年によって大きく異なっており、すでに差し掛かりつつある大規模改修の山(第1波…平成26〜35年度)と、平成50年度代に訪れる建て替えの山(第2波…平成51〜58年度)をいかにして平準化するかについても課題となります。 Aインフラ施設の将来更新費用  インフラ施設の将来更新費用は、今後40年間で総額1,881億円、1年当たりで47億円と推計されました。  これに対して、直近5年間平均の既存施設更新投資額は7・4億円であり、今後はこの約6・3倍の更新費用が必要と見込まれていることになります。  内訳としては、特に道路と上水道の更新費用が大きくなっています。 B公共建築物とインフラ施設を合わせた将来更新費用  公共建築物とインフラ施設を合わせた将来更新費用は、今後40年間で総額2,962億円、1年当たりで74億円と推計されました(図6「将来更新費用の推計(公共建築物+インフラ施設)」参照)。  これに対して、直近5年間平均の既存施設更新投資額は20・5億円で、今後はこの約3・6倍の更新費用が必要と見込まれていることになります。 C同一人口規模自治体との比較  下表「現在の既存更新額に対する将来の1年当たりの更新費用の割合」は、1年当たり将来更新費用の試算結果と、直近5年間平均の既存施設更新投資額の比率について比較したものです。  公共建築物については平均よりも状況は良い反面、道路・橋りょう・上水道は平均よりも状況が厳しいという結果になっています(ただし、下水道については、本市では直近5年間での更新投資がなかったためデータなし)。  そして、公共建築物とインフラを合わせた総合計でも、全国平均では約3・2倍(323・1%)であるのに対し、本市は約3・6倍(361・4%)であり、より状況が厳しいことが分かります。 ◎現在の既存更新額に対する将来の1年当たりの更新費用の割合 種別 全国平均値 中央値 袋井市 公共建築物 222.3% 304.5% 206.5% 道路 417.2% 419.5% 499.7% 橋りょう 576.1% 1,755.4% 868.8% 上水道 462.9% 616.9% 655.7% 下水道 452.8% 372.2% なし 総合計 323.1% 358.4% 361.4% 平成24年度 総務省調査対象のうち、同一人口規模(人口5万人〜10万人)20自治体と比較。  これらの将来更新費用は、総務省が推奨する「公共施設等更新費用試算ソフト」(一般財団法人地域総合整備財団が開発)を使用して、現在保有する公共建築物及びインフラ施設を、耐用年数経過後に同規模・同構造で更新すると仮定して推計した概算の金額です。 今後の取り組み  このような状況の中で、将来にわたって公共施設等を安全かつ便利に利用していくため、公共施設等に関する課題や本市の特性、公共施設マネジメントの留意点を的確に把握し、3つの方針を柱として取り組んでいきます。 袋井市公共施設マネジメント 今後の取り組み方針 方針@ 施設保有量を適正化します! ◇変化していく市民ニーズも見据えながら、公共施設等の保有総量縮減を図ることで、必要となる将来更新費用や管理運営コストを削減し、本当に必要な施設を保有し続けられるようにします。 ◎具体的な取り組み @施設の統合や廃止の推進  A施設の新規整備の慎重な検討 B民間や近隣自治体施設の活用 C施設利用者の適正規模を考慮した調整 Dまちづくりの方向性を踏まえた検討 方針A 管理運営の効率化を図ります! ◇公共施設等の管理においては、建て替えや大規模改修以外にも多額の費用が必要となります。そのため、保有し続ける施設についても管理運営の効率化を図り、管理運営コストの縮減を図ります。 ◇保有施設の有効活用の観点からは、管理運営方法の工夫により、市民ニーズに合致したより望ましい公共サービスの提供を目指していきます。 ◎具体的な取り組み @経費の縮減 A収入の確保 BPPP/PFI(※)手法の活用 (※)「PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)」とは、公民が連携して公共サービスを行うスキーム(枠組みを持った計画)で、「PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)」はPPPの代表的手法の1つです。 方針B 安全性の確保と長寿命化をともに推進します! ◇今後、公共施設等の老朽化の進行に伴い、安全性に対する懸念が高まっていきます。このような懸念に対処すべく、安全性の確保を図るために適切なメンテナンスを行っていきます。 ◎具体的な取り組み @継続的に点検・診断、メンテナンスを行っていく体制の整備 A長寿命化の推進 さらに…このような現状を知っていただくため、地域座談会や公民館長会議などに出向いて説明を行っています。 未来の袋井市のまちづくりのため、皆さんのご理解とご協力をお願いいたします。