P06-11 輝く未来へ今、袋井が動き出す! 〜『地方創生』いよいよ始動〜 「袋井市人口ビジョン」と「輝く“ふくろい”まち・ひと・しごと創生総合戦略」(袋井版総合戦略)を策定しました 問 市長公室総合戦略室 TEL44-3369 「地方創生」ってどういうこと?  日本の人口推移を見ると、2008年に自然減(死亡数が出生数を上回る状態)に転じ、人口の減少ペースは年々加速しています。また、人口減少が進む地域では経済の停滞や生活水準の低下も進み、それがさらに人口の流出に拍車をかけるといった悪循環に陥る懸念があります。  そこで政府では、急速な少子高齢化や首都圏への一極集中を背景とする地方の人口減少に歯止めをかけ、各地域がそれぞれの特徴を活かした自律的で持続的な社会を形成できるように、『まち・ひと・しごと創生』をキーワードに「長期ビジョン」(長期的な人口推移の見通し・図1参照)と「総合戦略」(人口減少問題の克服や地方の活性化を図るための戦略)を決定しました。  このビジョンや戦略に基づき、将来にわたって活力ある日本社会を維持していこうという取り組みが『地方創生』です。 ●「地方再生」と「地方創生」は、何が違うの?  小泉内閣で導入された「経済構造改革」の取り組みの一環として進められた地方活性化策が、『地方再生』です。地域経済活性化や地域雇用創出などの実現が狙いで、地方自治体の活性化策に対して国が各種支援措置を実施するものでした。  『地方創生』も同様の目的を持っていますが、人口減少社会を前提条件に置いた活性化策を策定しようとしていることが大きな違いとなっています。 「地方創生」はどうやって進めていくの?  『地方創生』は、地域活性化を目指すものですが、各地域の抱える課題は画一ではないため、地域ごとに課題解決に効果的な施策を進めていく必要があります。  そのため全国の各自治体には、政府の決定した「長期ビジョン」と「総合戦略」に基づき、自分たちのまちの人口推移や中長期の将来展望をまとめた「地方人口ビジョン」と、地域活性化の具体的な施策を定めた「地方版総合戦略」を平成27年度中に策定することが求められています。 ●「地方人口ビジョン」と「地方版総合戦略」の策定にあたってのポイントは?  「地方人口ビジョン」の対象期間は、政府の長期ビジョンの期間である2060年を基本としており、人口変化が地域の将来に与える影響の分析・考察、目指すべき将来の方向性や住民の希望を実現するための基本的な施策の方向性を踏まえた人口の将来展望などを記載することが求められています。  一方、「地方版総合戦略」の対象期間は平成27年度〜平成31年度の5年間で、国が定める政策分野(4分野)を勘案して各自治体の政策分野を定め、各分野ごとに5年後の基本目標を設定するとともに、施策ごと客観的な評価指標を設定することが求められています。 袋井市の「地方創生」への取り組みはどうなっているの?  袋井市では、産業界・大学などの高等教育機関・金融機関・労働団体などと市で構成する「輝く“ふくろい”まち・ひと・しごと創生会議」を設置し、女性や若者・高齢者の意見も踏まえた上で、「袋井市人口ビジョン」と「輝く“ふくろい”まち・ひと・しごと創生総合戦略」(袋井版総合戦略)の策定を進めてきました。  今後は、仕事が人を呼び、人が仕事を呼び込む好循環を確立することで地域に活力を吹き込むことを目指し、「袋井市人口ビジョン」と「袋井版総合戦略」の実現に向けて地域社会一丸となって取り組んでいきます。 ●平成27年度は「袋井市人口ビジョン」と「袋井版総合戦略」の策定しか行わないの?  袋井市では、平成27年10月30日に「袋井市人口ビジョン」と「袋井版総合戦略」を策定・公表しましたが、これに先立ち先行型事業と呼ばれる各種施策を実施しています。 ◎主な先行型事業 @ICT教育環境の充実(今井・三川・笠原小学校をモデル校とした電子黒板の導入) A「全国メロンサミットinふくろい」の開催とクラウンメロンの海外輸出支援 Bプレミアム付商品券「元気はつらつクーポン券」の発行 C子育て応援アプリの開発とアクティブ育児支援プログラムの策定 など 平成27年度の取り組み経過 4月 「袋井市人口ビジョン」と「袋井版総合戦略」策定方針の決定 5月 「輝く“ふくろい”まち・ひと・しごと創生会議」設置  「袋井市人口ビジョン」と「袋井版総合戦略」策定にあたり、特定課題を集中的かつ専門的に審議するための創生会議を設置(5月と7月に会議開催)。 創生会議には、地域の事情に精通した方たちをメンバーとする「ふくろい部会」と東京交流会のメンバーを中心とする「首都圏部会」の2つの部会を設けたほか、市内金融機関の支店長や静岡理工科大学の学生との意見交換会を開催し、それぞれの立場から意見をいただきました。 7月 「人口ビジョン(素案)」と「政策パッケージ(骨子案)」の決定 10月 市議会常任委員会で「人口ビジョン」と「総合戦略」の最終案を成案 「袋井市人口ビジョン」と「袋井版総合戦略」の策定・公表 住みたい・住み続けたいまちの実現に向けて! 次ページからは、「袋井市人口ビジョン」と「袋井版総合戦略」の概要について紹介します。 袋井市の地方創生のこれまでの取り組みなどをお伝えしている「やらまいか通信」が、市ホームページからご覧いただけます。 袋井市人口ビジョン 1 〜これまでを振り返り、将来を見つめる〜 袋井市の人口推移の現状と課題 「袋井市人口ビジョン」策定の目的  「袋井市人口ビジョン」は、本市の人口の現状を分析し、市民や企業、大学や各種団体などの皆さんと人口問題に対する認識の共有を図るとともに、人口減少と地域経済縮小の克服や「まち・ひと・しごと創生」との好循環の確立を目指した効果的な施策の立案をする上で重要な基礎として位置付けるものです。 袋井市の人口推移の現状と課題  袋井市の人口は、平成21年ごろまで増加傾向にありましたが、近年は横ばいで推移しています(図2参照)。  年少人口(0歳〜15歳未満)・生産年齢人口(15歳〜65歳未満)・老年人口(65歳以上)の3区分別割合の推移では、生産年齢人口が減少し老年人口が増加しており、平成27年時点では5人に1人が高齢者という状況です(図3参照)。  また、出産に関する状況では、平成21〜25年の合計特殊出生率が1・72と、県(1・50)や国(1・42)よりも高い出生率で推移していますが、出生数は横ばいからやや減少傾向にあります(図4参照)。 ●様々な指標をみると本市は明確に人口減少局面に入っているとはいえませんが、まもなく人口減少局面に入ると見込まれます。  このため、将来を見据えた人口減少抑制対策を講じていくことが喫緊の課題となっています。 2 〜人口減少社会に適応していくために〜「袋井市人口ビジョン」の基本的な視点  「袋井市人口ビジョン」では、現状と課題を踏まえ、人口減少社会に対応していくための基本的な視点として次の4つを掲げます。 視点@ 人を惹きつけ活力みなぎるまちづくり…子育て世帯にとって魅力あるまちの形成、定住者増加のための就労の場の確保 視点A 市民総がかりでの子育て支援…市民全員の子育て参画による、子育て環境構築と出生率向上の実現 視点B 愛着が持てる地域づくり(郷土愛を育む)…進学や就職などで袋井を離れても、戻ってきたいと思えるような郷土愛の醸成 視点C 人口減少の「抑制」と「適応」の両面からの取り組み推進…人口減少を抑制する戦略に加え、人口が減少したとしても市民が快適に暮らせるまちをつくる戦略 3 〜将来目標人口達成のために〜 袋井市の目指す将来の方向性  基本的な視点を踏まえ、将来目標人口達成のために袋井市の目指すべき方向性について、5つの方向性を定めます。 方向性@ 子育て世代、若者を中心とした生産年齢人口の流出に歯止めをかける 方向性A 子どもを2人以上持ちたい希望をかなえる 方向性B にぎわいの創出に向け、人を惹きつける地域資源の活用 方向性C 心豊かな生き方や暮らし方を大切にする社会を築く 方向性D いきいきと暮らせる健康長寿社会を築く 4  〜すべての施策を総動員して、オール袋井で達成を目指す〜 袋井市の将来目標人口 以下の対策@・Aなどにより、2060年(平成72年)に袋井市の総人口80,000人確保を目指します! 対策@ 国の目標を10年前倒しし、平成42年(2030年)に合計特殊出生率2.07の達成 対策A 子育て世帯(0〜9歳と30〜49歳)の転出入を平成32年(2020年)に均衡させる 「袋井市人口ビジョン」(本編・資料編)は、市ホームページからご覧いただけます。 輝く“ふくろい”まち・ひと・しごと創生総合戦略(袋井版総合戦略) 1 〜人口減少と地域経済縮小の克服に向けて〜「袋井版総合戦略」の基本的な考え方  急速に進む少子高齢化を背景に、我が国は本格的な人口減少時代に突入しています(6ページの図1参照)。  また、袋井市は明確に人口減少局面に入っているとはいえないものの、現状のままの傾向で推移すると2060年(平成72年)には67,900人まで人口が減少することが見込まれています(8ページの図2参照)。  このような背景の中、「第2次袋井市総合計画」(計画期間…平成28〜37年)の策定と合わせ、人口減少を抑制していくための抑制戦略と人口減少社会においても市民が快適に暮らし続けられるための適応戦略を定めたものが、「輝く“ふくろい”まち・ひと・しごと創生総合戦略」(袋井版総合戦略)です。  この袋井版総合戦略には、「袋井市人口ビジョン」に掲げる目指すべき将来の方向性実現や将来目標人口達成のほか、「第2次袋井市総合計画」の実現を加速させるため、今後5年間に集中して取り組む施策(政策パッケージ)が取りまとめられています。  袋井版総合戦略の対象期間は、平成27〜31年度の5年間で、戦略の推進にあたっては「輝く“ふくろい”まち・ひと・しごと創生会議」を中心に幅広い方々からの意見を伺いながら、PDCAサイクルによる継続的な改善を図ることにより、地方創生の実現に向けて常に戦略の進化を追求していきます。 2 〜5年後のまちの姿を描く〜「袋井版総合戦略」の基本目標と3つの挑戦  仕事が人を呼び、人が仕事を呼び込む好循環により「まち」に活力を取り戻すため、袋井版総合戦略では次の4つの基本目標を設定しました。  また、基本目標の早期実現を目指して強力に推進する3つの挑戦(政策パッケージ)を立案しました。 基本目標@ 活力みなぎる産業のあるまちづくり 基本目標A 快適で魅力にあふれ、安全・安心に暮らせるまちづくり 基本目標B 子どもがすこやかに育つまちづくり 基本目標C 市民がいきいきと活躍し、健康長寿で暮らしを楽しむまちづくり 挑戦@ 若者が魅力を感じるまちづくりへの挑戦  人を惹きつける地域資源を活用し、若者が魅力を感じ、集い・住みたい・住み続けたいと思える、若い世代を呼び込めるまちづくりに挑みます! 挑戦A ふくろい「場のチカラ」を向上させる挑戦  市民の生活に潤いと安らぎを与える「袋井らしさ」を追求し、地域資源とICTの結合などにより、地域経済を支える産業の生産性向上と活性化に挑みます! 挑戦B 健康づくりをリードする袋井の新たな挑戦  いつまでも光り輝き社会を支える人づくりと、将来にわたって持続可能な地域医療・介護提供体制の構築とあわせ、医療費の適正化に挑みます! 3 具体的な取り組み(抜粋) ◎ICT教育環境の充実 ◇子どもたちの自ら学ぶ力を養い、教職員の子どもとふれ合う時間を確保することで、学力の向上に資するとともに、心ゆたかで個性と創造性に富み、21世紀を生き抜く力を持った子どもを育成するため、ICT教育環境の充実を図ります。 ◎袋井商業高等学校5年制化の推進 ◇将来の地域産業や経済を担う人材を育成するため、より実践的な職業教育を行う新たな高等教育の在り方として、袋井商業高等学校の5年制化を提唱し、全国初となる公立商業高校の高等専門学校新設を含め、実現に向けた働きかけを行います。 ◎遠州三山「寺のある暮らし」推進プロジェクト ◇袋井市を代表する観光拠点である遠州三山を中心に、新しいにぎわいの場づくりや非日常的な体験に触れるプランの創造に加え、情報発信の強化などにより国内外からの観光交流客の誘客と滞在時間を増やす環境の整備を推進します。 ◎世界で戦える農産物とビジネスモデルの確立 ◇トレーサビリティ(流通経路や履歴などの追跡可能性)をはじめとした安全・安心な流通体制の確立と、産地表示などと併せた知名度向上の取り組みにより、世界で戦える農産物育成とビジネスモデル確立を図ります。 ◇また、積極的な販売促進活動を通じた消費者ニーズの獲得により、クラウンメロンなどのブランド力のさらなる強化を図ります。 ◎「3Days Worker's Office」構想の推進 ◇高齢者をはじめ子育てや闘病などを起因としてフルタイムでの就労が困難な方などを対象に、『生きがい就労』という新しい働き方を創出し、労働市場の需要と供給の総合調整のほか、ジョブトレーニングなどを支援する仕組みを構築します。 ◎想定する新たな業務…子育て支援サービス(家事代行、保育ママなど)、高齢者向けライフサポートサービス(買い物支援など)、民間企業や公的団体などからの受注業務(通訳や窓口業務、テレワークなど) 就労モデル@(週3日×8時間労働の場合) 週3日×8時間×4週間×@900円=月収86,400円 就労モデルA(週5日×4時間労働の場合) 週5日×4時間×4週間×@900円=月収72,000円 各施策の内容や実現すべき成果に係る数値目標など「袋井版総合戦略」の詳細は、市ホームページからご覧いただけます。