P02-03 ◎今月の広報ふくろい [特集] 2 エール!! 明日を見つめて「ふるさとへ捧ぐ一手」 4 平成30年4月1日から公民館がコミニティセンターへ変わる!? 8 生ごみ減量大作戦 〜水切り徹底で、目指せ1,000万円削減!〜 [お知らせピックアップ] 10 “茶文化共生” 茶処ふくろいに「松下コレクション常設展示場」が開設 [フクロインフォ] 11 催し・講座・募集・相談・お知らせ 27 救急診療・行事予定・市民相談窓口・健康伝言板 [連載] 25 国際交流員 サムとヘザーのBreak Time 30 focus on ふくろい 32 スクラム2019、街の写真館 ◎今月の表紙  藤井聡太四段の破竹の連勝で注目を浴びる将棋界。今回の表紙は、その将棋界の礎を築いてこられた袋井市出身の棋士、鈴木輝彦さん(八段)です。  平成16年に現役棋士を退かれたもののその実力は健在。藤井四段を目標に将棋に明け暮れる市内の子どもたちを相手に、1対3の多面指を行いました。  輝彦さんの攻めの一手に、子どもたちは頭を抱えながらも、普段できない体験に、目を輝かせていました。 ◎市民の動き(平成29年6月1日現在)  人口…87,604人(前月比+7人)  世帯…33,528世帯(前月比+17世帯) ◎メール配信サービス「メローねっと」のご案内 ◇袋井市メール配信サービス「メローねっと」は、携帯電話やパソコンのメール機能を利用して、気象情報や同報無線の放送内容など様々な行政情報を配信するサービスです。 ◇詳しくは、27ページをご覧ください。 エール!! 明日を見つめて 「ふるさとへ捧ぐ一手」 ふくろい未来大使・  鈴木 輝彦さん(将棋棋士・八段)  中学生プロ棋士・藤井聡太さんの活躍で注目を集める将棋界は、 勝負への執念とプレッシャーが交差する勝負師の世界です。  今回は、長年プロ棋士として活躍され、現在は(公社)日本将棋連盟(以下:日本将棋連盟)の理事として後進の指導や将棋の普及に努められている鈴木輝彦さん(上山梨出身)にお話を伺います。 問 企画政策課シティプロモーション室 TEL44-3104 将棋との出会い  私が幼かった昭和30年代はテレビもまだ普及しておらず、夏の夕暮れ時になると近所の床屋さんの前で縁台将棋が行われていました。将棋はみんなの共通の楽しみで、私も物心付いた頃からいつも眺めていました。  5歳の夏、いつものように大人たちの将棋を眺めていると、東京から帰省した将棋部の大学生が将棋を指しに来ました。大人たちは「大学の将棋部」と聞いて誰も勝負しようとはしませんでした。床屋のおじさんが「てるぼう、やってみるかい?」と声をかけてくれました。見よう見まねで指した初めての将棋。私はなんと大学生に勝ってしまいました。このとき床屋のおじさんが「この子は将棋で飯が食えるかもしれない」と言ったことを覚えています。  中学生になると、通信教育で将棋を学ぶ上級生と友達になり、そのお宅に行っては将棋を教えてもらいました。近所にあった将棋道場に通い始めたのもこのころです。西楽寺で毎月開催されていた将棋大会にもよく参加していました。 ―小さな盤上に無限の広がりを感じ楽しさも厳しさも学んだ― プロ棋士を志す  中学卒業後の進路で悩んでいたとき、偶然1枚だけ余っていた年賀状を手に取り、日本将棋連盟 新進棋士奨励会(奨励会)へ「棋士になるためにはどうしたらよいか」と手紙を書きました。どうせ返事など来ないだろうと思っていた矢先、なんと返事が来ました。地域の人たちの温かな支えで上京が叶い、16歳のときに廣津久雄九段の弟子となり、奨励会で指し始めました。 人生を捧げる覚悟が必要  将棋は強くなることがとても難しいゲームです。特にプロ入りとなる四段昇格には大きな壁があります。趣味の延長や兼業では昇段は難しいですね。  プロ棋士たちは、「勝つためにはどうしたらよいか」日々しのぎを削っています。ライバルに勝つには、体調管理や規則正しい生活習慣を身に付けることなど自己を律することが必要です。 AIとの対局  藤井四段の連勝で沸き立つ将棋界ですが、彼の出現は、彼の適性を見抜いた優秀な指導者の存在と、インターネットの普及により、地方でも様々な人と対局できるようになった環境の変化が大きな要因だと思います。  私が奨励会に入会したころは、東京在住の棋士が圧倒的に強かったですね。棋士は色々なタイプの人と対局することで修練され強くなっていくからです。今では、インターネットでいつでも、どこでも対局できる環境が整いましたから、今後は、地方でもプロ棋士を目指す人が増えるのではないでしょうか。  私は、日本将棋連盟の依頼を受け、インターネットを使ったプロ棋士の指導対局や将棋関連のデジタルデータのメンテナンスを行う会社の経営にも携わっています。  今日、将棋や囲碁でAI(人工知能)が人間に勝利し、話題となっていますが、AIが勝利するまでに費やした10万対局を超える膨大なデータは今後、将棋や囲碁だけでなく、医療や教育、インフラ整備など様々な異分野で応用されることで、私たちの暮らしを豊かにすることでしょう。 ふるさとの将棋ファンへ  将棋は子どもの思考力を高める効果があります。袋井市でも子ども将棋教室が盛んに開催されているようで、うれしく思います。  また、将棋は脳と指先を使うため認知症予防の効果も期待されています。  私は将棋連盟の理事として、もっと多くの人が将棋を楽しめるよう様々な提案をしていきたいと考えています。  私が育ったころのように、将棋を通じて地域の皆さんが交流し合えるといいですね。 鈴木 輝彦 Teruhiko Suzuki 将棋棋士(八段) 袋井市上山梨出身。昭和45年・16歳のとき、廣津久雄九段の弟子となり奨励会で指し始める。同年6級から昇段を重ね、最終段位は八段。将棋の普及活動や文筆活動に力を入れたいとし、フリークラス宣言をして順位戦から転出する道を選択し、平成16年引退。現在は、将棋の普及・発展を図るため、将棋対局サイト、日本将棋ネットワーク(株)代表取締役のほか、日本将棋連盟の理事を務める。