P04-07 若者の未来を拓くものづくり  市では、地元・静岡理工科大学を始めとした学生たちのものづくりに懸ける熱意をまちづくりに反映させていくため、全日本学生フォーミュラ大会の開催支援や新しい産業の誘致など、産学官が連携し活力あるまちづくりを目指しています。  また、人口減少により労働力不足が問題になってきている現在、若い労働力は、まちを活気づける大きな要素です。  今後、産業構造に大きな変革が予想されることを踏まえ、人材の育成や異業種間の連携はもとより、新しい産業への対応など、産業の方向性を議論する取り組みも進めています。 国内最高峰の学生によるフォーミュラ大会  全日本 学生フォーミュラ大会が、今年も小笠山総合運動公園エコパを会場に開催します。静岡理工科大学は、平成17年度に「SISTフォーミュラプロジェクト」を立ち上げ、以来、毎回出場しています。平成25年〜27年までEV部門で総合優勝を果たした静岡理工科大学ですが、昨年は惜しくも優勝を逃してしまいました。この悔しさをバネに、現在V奪還に向けマシンの整備に余念のない、SISTフォーミュラプロジェクトチームのリーダー、牧野駿さん(理工学部4年)にお話を伺いました。 Interview 牧野駿さん SISTフォーミュラプロジェクトリーダー  自分のやりたいことを積極的にできる雰囲気の中、車好きのメンバーが集まり活動をしています。  EV(電気自動車)・ICV(ガソリンエンジン車)ともに、昨年の反省を踏まえ、エンジンやパーツの変更など試行錯誤を繰り返す中で、勝てる車を製作中です。  昨年の悔しさを糧に、チーム歴代最高の成績を目指します!  市民の皆さん、応援をよろしくお願いします。 ■来場者は1.5万人以上  大会は5日間行われ、自動車企業・モータースポーツファンなど来場者は1.5万人を超えます。  競技は、ガソリンエンジン車(ICV)クラスと電気自動車(EV)クラスの2クラスに分かれて行われます。  ICV・EVクラスとも、車両を走行させ競技する「動的審査」と、デザインやコストの口頭試問とビジネスプランをプレゼンテーションする「静的審査」の2つの審査が行われます。  この動的審査と静的審査の得点の合計によって大会の総合順位が決定します。  学生たちは、決められたルールの中で、どうしたら早く、美しい車両が作れるか知恵を絞ります。こうして造り上げられた車両はひとつとして同じものはなく、その違いがエンジン音やフォルムに現れるのも、本大会の魅力です。  また、動的審査に出場するためには、事前に車検を通過する必要があります。このため、審査員は騒音やブレーキの作動、燃料漏れなど、車両の規定や設計要件が規定どおりであるかを細部にわたって入念にチェックします。車検はレース以上に大きな試練の時でもあります。 ■若き技術者の研鑽の場  少子化による学生の減少に加え、近年の若者の理科離れといった深刻な状況は、日本の産業にとって国際競争力や企業競争力の低下につながりかねません。  実際にものを創っていく中で、技術や実践的な能力を養う学生フォーミュラ大会は、ものづくりに必要不可欠な「創造性」を育むうえで、とても重要です。  今後、日本のものづくりをリードする技術者の卵たちの頑張りをぜひ会場でご覧ください。 9月5日から開催 第15回 全日本 学生フォーミュラ大会 −ものづくり・デザインコンペティション− 時 9月5日(火)〜9日(土) 所 小笠山総合運動公園エコパ 料 無料 詳しくは、全日本 学生フォーミュラ公式サイトをご覧ください。 頑張れ静岡理工科大学!! 8月29日壮行会開催 全日本 学生フォーミュラ大会に出場する静岡理工科大学チームの壮行会を開催します。 地元大学の活躍を市民一同応援しましょう。 時 8月29日(火)午前11時〜  所 市役所1階・市民ホール 内 大会を目前に控えた学生メンバーが集結。大会への意気込みを語ります。(フォーミュラカー(車両)の展示も予定) 昨年の大会の様子は、動画再生アプリ「Pictu AR」と「Youtube」内の袋井市チャンネル(チャンネル名…FukuroiCityOffice)で、お楽しみいただけます。  大会には、国内外から98チームがエントリーすることから、会場となる袋井をPRする絶好のチャンスです。  市では、静的審査の最優秀チームに「袋井市長賞」としてクラウンメロン(1年分)を贈呈するほか、参加者への無料冷茶サービスや、クラウンメロンの試食などを行い、市内産の特産物をPRしています。 「市民の皆さん一人ひとりが、袋井の広告塔です。」  ぜひ会場に足を運んでいただき、大会を盛り上げ、一緒に袋井をPRしていきましょう! 袋井のものづくりひとづくり ■理学の本質をものづくりに  静岡県内唯一の理工系総合大学である静岡理工科大学。全日本 学生フォーミュラ大会だけでなく、鳥人間コンテスト選手権大会やロボカップへの出場など、ものづくりへの熱意にあふれた学生が数多く在籍しています。  今年4月からは、県内初となる建築学科を開設し建築分野での人材育成も進められており、ますます多様な学問について学ぶ場になりました。  物や事の本質を探究する「理学」を学び、その知見を基に生活に役立つ「こと」や「もの」の創造を目指す学生たち。市内の産業の活性化には、彼らの活躍が必要不可欠です。 鳥人間コンテスト(航空・宇宙) ロボカップ(ICT・IoT・AI) 学生フォーミュラ(車両設計・製造) 社会に役立つ仕組みを考える「ことづくり」それを形にする「ものづくり」創造への挑戦が生み出す価値の連鎖が、社会に役立つ革新的技術を生み出す。 ■育った人材を活用する「場」を作る  袋井市では、東名高速道路が開通した昭和44年以降、多くの大企業が進出。市民の働く場の確保をしてきました。雇用の場は、大学進学などで袋井を離れてしまった若者が戻ってくる受け皿でもあります。  まちの活力を生み出すためには、土地の開発と地域発展への投資が両輪となって進めていくことが重要です。  袋井市では、表@のとおり多様な業種が立地しています。このほど「豊沢工業団地」に進出が決定したトッパン・フォームズ東海(株)、トッパン・フォームズ・サービス(株)では、ICタグやICチップなどのIoT関連製品などが製造されます。  また、静岡理工科大学と「豊沢工業団地」は隣接していることから、産学官が一体となった取り組みが、加速することが期待されています。 にいけ工業団地(昭和63年完成) 事業社名 (株)アクト・メイト、日本スチールウール(株)、サンワ環境整備(株)、フクロイ乳業(株)、日本グラビヤ工業(株) 面積 29,349平方メートル 久能工業団地(平成16年完成) 事業社名 ヤマハ発動機(株) 面積 120,638平方メートル 山科東工業団地(平成27年完成) 事業社名 第一倉庫(株)・ピップ物流(株)、朝日インテック(株)、高雄工業(株) 面積 99,680平方メートル 豊沢工業団地(平成30年完成予定) 事業社名 トッパン・フォームズ東海(株)、トッパン・フォームズ・サービス(株) 面積 約77,000平方メートル ※豊沢工業団地は、「袋井市静岡モデル防潮堤整備と連動した次世代産業拠点創出推進区域」として静岡県内陸フロンティア推進区域の指定を受け整備を進めています。工業団地整備の発生土約60万立法メートルを活用し、高さ12メートルの防潮堤整備が順調に進行中です。 袋井市産業経済懇話会を開催 今後の袋井市の産業のあり方を考えると、人口減少による労働力不足の問題やAI(人工知能)やIoT(様々な物をインターネットで繋ぎ相互に制御する仕組み)といった新しい技術の進展(第4次産業革命)などにより、産業全体が予想を超えるスピードで大きく変化していくものと考えられます。 こうした第4次産業革命などに対応するための経営革新や異業種連携による技術革新を促進し、若者が希望を持って働くことができる環境づくりを進めるため、「産業経済懇話会」では、短期的な動向を踏まえ、10年先の産業を展望します。 ■袋井市産業経済懇話会メンバー(五十音順) 氏名 所属 専門 分野 1 小澤哲夫 静岡理工科大学理工学部 教授 工業 ・IoT社会を見据えたものづくり産業の展望・産学官連携によるイノベーションの推進 2 加藤百合子 (株)エムスクエア・ラボ 代表取締役 農業 ・先端技術(ICT・ロボット)と地域産業との融合・農業の流通改革 3 北井  渉 (株)三菱総合研究所 主席研究員 経済産業 ・世界経済及び日本経済の動向・国の目指す成長戦略 4 高木昭三 磐田信用金庫 会長 金融 ・中小企業の実態把握・中小企業に求められる経営革新の展望 5 豊田富士雄 豊田肥料(株) 代表取締役社長 産業 ・袋井商工会議所顧問・農業関連企業として農業改革の方向性 6 中村憲司 (株)大和コンピューター 代表取締役 ICT農業 ・ICTが産業に与えるインパクト・ICT×農業の展望 7 西野勝明 静岡県立大学 特任教授 経済産業 ・県内産業経済に関する動向・行政経営及び人材育成 ※コーディネーター(懇話会座長) 8 原田英之 袋井市長 ■産業経済懇話会 開催概要 第1回 8月開催 〜2030年の社会と技術の展望〜 第1部 ゲストスピーカーによる基調講演「人工知能・IoTが生み出す第4次産業革命と日本の未来」 講師プロフィール 尾木 蔵人(おぎ くらんど) 三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株) 国際アドバイザリー事業部 副部長 日本経済調査協議会 人工知能(AI)委員会 主査 第2部 パネルディスカッション テーマ…「科学技術や社会の大きな変化をどう地方の発展に繋げていくか」 第2回〜4回のテーマ(案) 工業、農業などの分野別の展望に加え、全産業を横断的な視点で議論し、本市産業の方向性を整理する。 ●産業の横断的連携施策によるイノベーション方策 ●新産業創出に向けたベンチャー支援 ●就業構造の転換と人材育成の方向性 など