P04-09 中学生のアツい夏 ― まちづくりの主役は私たちだ! ―  この夏、中学生たちは夏休みの期間にまちづくりや平和について学び、英語力の向上にも力を入れました。学校の授業だけでは体験することができない多くのことを学んだ中学生たちは、これからの袋井市についてどのように感じ、どのようなまちにしたいと考えているのでしょうか。今回は中学生たちの想いを特集します。 ◆中学生が「まちづくり」を考える  中学生未来会議は、平成27年の市制施行10周年記念事業として始まり、今年で3回を数えます。  中学生たちは、放課後を利用したり夏休みに登校し準備を重ねました。事前の準備では、市役所から資料を取り寄せたり市ホームページを閲覧したりして、情報を集めました。  議論を進める中で、タグラグビー教室や英語教育など、市が進めている「ラグビーW杯」に向けた盛り上げや「まちの国際化」に向けた取り組みが自分たちの身の回りの出来事と重なり、まちづくりと自分たちの関係性を実感できるようになってきました。 中学生未来会議 浅羽中学校 「袋井市のまちづくりについて 中学生の目線から」 議員 浅羽中学校では、外部から講師を招き学ぶ時間「浅中DAY」に、ヤマハ発動機ラグビー部の選手を招きました。選手から指導を受ける内に、ラグビーに興味を持つようになりました。ラグビーW杯が開催されるにあたり、多くの市民にラグビーの楽しさを知ってもらうため、もっとラグビーの教室を開催してみてはどうでしょうか。 市長 ラグビーは、野球やサッカーに比べ、競技人口が少なく啓発活動が必要です。多くのスポーツを知り、プレーしたり、観戦・応援したりすることは、私たちの生活を豊かにします。皆さんもラグビーを啓発する中で、豊かな心を育んで欲しいと思います。 市民生活部長 現在開催している「タグラグビー教室」は教室の規模から全ての市民が参加できるものではありません。教室で体験するだけでなく、テレビ中継やスタジアムへ足を運び「観戦」することで魅力を感じ、その魅力を多くの方に伝え、一緒に大会を盛り上げていきましょう。 議員 「遠州三山」などの袋井の魅力を伝えたり、外国人選手や観戦客に親近感を持ってもらったりするため、会場に参加国のブースを作ってみてはいかがでしょうか。また、大会を通じて中学生はどんな場面で活躍できると思いますか。 市長 市では、公式に決められた応援スペース「ファンゾーン」の活用など、観客が集まれる場所の造設を計画しています。中学生の皆さんには、ブース運営の協力やホームステイの受け入れなどを通じて、袋井の魅力を伝えて欲しいと思います。 理事兼企画財政部長 2002年のFIFAワールドカップ(サッカー)では、「一校一国運動」としてエコパを試合会場にする国の文化を学ぶ取り組みを行いました。大会を契機に英語を学ぶ中で、言葉の壁と外国人や外国文化に対する心の壁を低くし、世界の皆さんと触れ合う機会を多く持って欲しいと考えています。また「袋井の魅力」とは何かを皆さんにも考えて欲しいと思います。 市民生活部長 11月上旬に対戦カードが決定します。出場国の歴史や文化を学び、その国のファンになって応援をして欲しいと感じています。 袋井南中学校 「ラグビーW杯の成功に向けて〜中学生ができること〜」 議員 中学生の英語能力向上についてALTの指導・スカイプを活用した更なる会話能力の向上を検討していますが、市長さんの考えをお聞かせください。 市長 私自身の経験から言語の習得には「慣れること」が大切だと思っています。慣れる機会をどれだけ多く持つか、今後も色々な方法で、英語に触れる環境を増やしていって欲しいと考えます。 教育長 スカイプを活用した海外交流やALTからの指導など、皆さんが外国人と接する機会を増やして行きたいと考えています。このほかにも英語力向上のため平成28年から、「イングリッシュ・デイキャンプ」を開始し、今年は市内の観光地を巡りながら外国人を案内するという想定の下、実践的な英会話を学びます。学校の授業以外でも、このような実践的な英語を学ぶ機会はありますので、是非、挑戦してみてください。 議員 会場の清掃をはじめ、大会開催時には様々なボランティアが必要になると考えられます。私たちは、JR愛野駅からエコパまでの間を市内の英語が得意な中学生が「案内ボランティア」を実施したり、障がいのある方が、ラグビーを楽しめるよう「介助ボランティア」に力を入れていきたいと考えていますが、市長さんの考えをお聞かせください。 市長 英語による案内ボランティアや障がいのある方への介助ボランティアはとても素晴らしいことだと思います。案内ボランティアは、会場以外でもホームステイを受け入れるなどの方法がありますので、是非、登録をしてください。外国の方と心を通わせることは、皆さんの人生において貴重な経験になります。ラグビーW杯を通じ、袋井市に居ながらにして外国文化に触れることが、今後世界を舞台に活躍する皆さんにとって、きっとプラスになります。また、高齢者や障がいのある方など、誰かに手を差し伸べるということは、勇気が要ることですが、そのための一歩を皆さんも踏み出してください。 周南中学校 「大人になって戻ってきたいまちづくり」 議員 外国人観光客が増加傾向にある中で、「遠州三山」や特産品の活用により、外国人の心をつかむことは、まちに活気を生み出すことになると考えます。また袋井市がもっと世界とつながれるようにしたいと考えますが、市が行っている取り組みについてお聞かせください。 市長 外国人をお迎えするにあたり、袋井市では宿泊施設が不足していることから、ホームステイの受け入れ家庭を募っています。皆さんには通訳のボランティア活動を通じて「遠州三山」で行われている風鈴まつりやふくろい遠州の花火など袋井の行事のPRをお願いしたいです。 理事兼企画財政部長 静岡県は、訪問外国人だけでなく在住外国人も多い地域です。在住外国人の中には言葉だけでなく、日本のルールが分からないといった方もいます。英語以外の通訳を配置したり、観光案内所には、翻訳機付きのタブレットを設置したりして言葉の壁をクリアするとともに、外国の生活習慣を理解する事業にも取り組んでいきたいと思います。 議員  安心・安全なまちをつくるためには、日ごろから顔が見える関係性が大切だと思います。例えば、ハロウィンを行うなど、どの家にどの人が住んでいるのか分かるイベントを開催することが有効だと考えますが、市長さんの考えをお聞かせください。 市長 9月には「地域防災訓練」があります。地域の人たちと協力し、助ける立場として皆さんも参加し自分たちに何ができるかを考えるきっかけにして欲しいと思います。形は違えど、皆さんがハロウィンで実現しようとした「日ごろから顔が見える関係性」を、可能な限り実現できるように進めていきたいと思います。 防災監 地域コミュニティは、防災の点からとても大切です。平成30年4月からは、地域主体のまちづくりに向け公民館が「コミュニティセンター」へと名称が変更され、活動の自由度が広がることで、防災もその取り組みの大きな柱となっていきます。コミュニティセンターは困ったときには助け合い、自分たちで解決をしていくまちづくりの拠点になりますので、積極的に足を運んでいただきたいと思います。 袋井中学校 「市民憲章から見る袋井市のまちづくり」 議員 入学式・卒業式など様々な場面で唱和する「市民憲章」に込められた袋井市のまちづくりの理念について、市長さんはどのような考えをお持ちですか。また、どんな取り組みをしていますか。 市長 市民憲章は、私たち市民が「市民としてどのような気持ちで生活していくか」「市をどのようなまちにしていくか」というものを明文化したものです。私は皆さんが生活する上で、何か心の支えになるものがあった方がよいと考えています。私自身も仕事や家庭など様々な場面で市民憲章を思い起こすことがあります。市民の皆さんにとっても市民憲章が、心の支えになって欲しいと思っています。 副市長 行政の仕事は色々な計画を立て、その計画に基づいて進めていきます。袋井市ではそれらの計画の最上位にある「第2次袋井市総合計画」において、子育て・定住・市民力を強く推進しまちづくりを進め、皆さんが住みやすいまちをつくっていきます。 議員 市が行っている教養を豊かにするための取り組みにおいて、私たち中学生は何をすればよいか。また、それらを推進することで、どれくらいの文化が向上すると考えますか。 市長 中学生の皆さんは、学校での勉強を通じて教養を豊かにすることができます。これからの時代は、様々なことを知り、取捨選択し、判断できる力を養うことが大切だと考えます。また、大人になっても社会教育として、公民館などの講座に参加するなど、学び続けていくことが大切です。 教育長 中学生の皆さんには、語彙力をつけて欲しいと思います。袋井市では、小中一貫教育を進める中で、「思考力(考える力)」を養う取り組みを進めています。考える力の根幹は、言葉を知っていることです。考える力は、言葉の質と量にかかっています。本を読んだり新聞を読んだり、分からない言葉に出会ったとき調べていく経験を重ねてください。今はスマートフォンなどで簡単に調べることもできますので、是非、言葉の力を磨き教養を豊かにして欲しいです。教養が豊かになることで皆さんの人生はもっと楽しくなると思います。 広島平和記念式典中学生派遣団 ◆平和の尊さを知る  終戦から72年、戦争を知る方々は少なくなっています。  8月5日・6日、市内の中学生24人が今回で3回目となる「広島平和記念式典中学生派遣団」(団長…鈴木茂副市長)に参加しました。  8月5日には、被爆体験者であるガイドの方の説明を受けながら広島平和記念公園内を見学するとともに、市民の皆さんが平和への願いを込めて作成した千羽鶴を奉納。6日には「平和記念式典」へ参列しました。  中学生たちは、戦争に関する資料や被爆者の方の話、平和を祈願する世界各国から訪れた人たちに出会う中で、平和の尊さを強く学びました。  広島の「平和記念式典」に参加した中学生たちは、終戦の日である8月15日に、メロープラザで行われた「袋井市戦没者・戦災死者追悼平和祈願式」で、今回学んだ平和への思いを多くの人に語りました。 「平和な未来を目指して」 浅羽中学校三年生 近藤美咲  私は戦争を知りません。だからこそもっと戦争のことを学ぶ必要があります。今回広島を訪れて、たった一発の原子爆弾のあとに、たくさんの死と、そのあとからずっと続く苦しみや悲しみがあることを知りました。私と同じように戦争を憎み、「平和な世界」をつくろうという思いをもった人がたくさんいることに勇気づけられもしました。次世代を担う私たちが戦争によって引き起こされたことに関心をもち続け、戦争によって失ったものや苦しんだ人々のこと、原子爆弾による影響を学ばなければなりません。そして学んだことや感じたことを、周りに伝えていくことが大切だと考えます。核兵器のない、平和な未来のために。 「広島で心に刻んだこと」 袋井中学校二年生 出口華江  広島の平和記念式典には、世界各国から大勢の人々が参列していました。世界中からこれほど多くの人が広島の犠牲者の追悼のために、そして、世界の平和を祈るために集まっていたことに驚きました。スイッチ一つで投下された、たった一発の原爆がもたらした現実を見れば、生涯忘れることはできないでしょう。そうした人々の思いが、核兵器のない平和な世界を築く礎になるに違いありません。過去の事実を知り、世界の人たちと共に、平和な世界を築いていくのは私たちの使命だと強く心に刻みました。 イングリッシュ・デイキャンプ ◆実践的な英会話を学ぶ  ラグビーW杯が、小笠山総合運動公園エコパで開催されるまであと2年。大会開催期間中は、様々な国から選手や観戦者が訪れます。市では、大会を契機とした「まちの国際化」を進める一環で、市民の英語力の向上に力を入れています。  8月7日・10日には、英語の集中講座「イングリッシュ・デイキャンプ」を開講。市内在勤のALTを来訪した外国人と想定し、袋井市の観光地を案内しました。参加者は「海外の方にも、袋井の良さを知ってもらう」という目標を達成するため、学校の授業で学んだことを活かし、生きた英語を学びました。  「上手く話せないから恥ずかしかったけれども、私たちの英語でも伝わることが分かってうれしかった。」「自分から率先して困っている外国の人を助けたい。」と参加者たち。  中学生たちは、英語の習得をきっかけに、日本以外の国に関心を持つことや国を越えた優しさや思いやりの心を育みます。大会開催時には、英語通訳ボランティア要員として活躍するだけでなく、彼ら自身が日本や袋井の魅力となっていくはずです。  市内の中学生たちは、夏休みに体験した様々な活動を通じて、世の中のことについて考えるきっかけを得ました。  中学生たちは、まちづくりや平和を考える中で、「自分たちは色々な人に支えられて生きている」ということを強く感じたそうです。  彼らは今後、自ら目標を立て、それを達成することで、自身の成長と世の中へ貢献する素晴らしさを経験していくことでしょう。