P14-15 医療現場にフォーカスオン!  県では、毎年9月を「地域医療を考える月間」としています。今回は市民の皆さんにとって身近な医療機関のひとつである中東遠総合医療センターについて紹介します。この機会に皆さんも身近な医療について考えてみませんか。   地域医療を支える基幹病院  袋井市と掛川市の市立病院の統合により、中東遠総合医療センターは、中東遠地域(袋井市・磐田市・掛川市・菊川市・御前崎市・森町)の基幹病院として平成25年5月に開院しました。病院、診療所、介護施設、保健施設などの医療連携を推進する役割を担うとともに、質の高い医療を提供しています。 救命救急センター  平成27年8月に静岡県から県内10施設目の「救命救急センター」に指定されました。「救命救急センター」とは、脳卒中や心筋梗塞などの病状が非常に重い救急患者に24時間体制で高度な救急医療を提供する施設(第3次救急医療施設)で、中東遠総合医療センターでは専任の医師3人・看護師42人・専用病床20床体制で受け入れに当たっています。 安全で安心な出産  産婦人科では、年間約600件の分べんを取り扱っています。小児科をはじめとする各診療科との連携など総合病院としての強みを生かし、様々な症状に即座に対応できるため、母子ともに安全・安心な環境で出産を迎えられます。 睡眠医療センター  日本睡眠学会の認定(A型認定医療機関)を受けた、睡眠医療の専門施設です。総合病院の睡眠医療センターとしては、現時点では県内唯一です。(睡眠外来は紹介状がなくても予約が可能です。) 睡眠時の無呼吸→認知症!? 〜睡眠中に息が止まるのは認知症への第一歩〜 判明した因果関係 「睡眠時無呼吸症候群」をご存じですか? 眠っている間に息が止まってしまう病気です。最近の研究で認知症と関連があることが分かってきました。 ●無呼吸状態になると…  まず、良い睡眠がとれなくなることです。そのため、昼間なのに眠い、いつも頭が重い、疲れやすい、集中力が続かないなどの症状が現れます。そのような状態が続くと、仕事や勉強の能率が落ちるだけでなく、場合によっては、仕事での重大なミスや事故、あるいは交通事故を招いてしまいます。こうなると、単なる個人の問題では済まされず、社会的にも大きな問題に至るケースもあります。  次に、脳や体の酸欠状態が毎晩繰り返されることです。そのことが様々な病気の危険性を高めます。これまでも、高血圧、不整脈、狭心症・心筋梗塞、心不全、脳卒中などの病気との関連が報告されています。 ●睡眠時無呼吸を治療して認知症予防  睡眠時無呼吸症候群と認知症は関連があります。欧米を中心とする最新の研究によって、睡眠時無呼吸症候群が認知症の危険を高めることがわかってきました。  物忘れ症状が現れても早い段階で適切に対処すれば、認知症への進展を遅らせることができます。とはいえ、正常と異常との線引きは難しいのが実際です。うっかりミスが多い、頭がボーっとする、仕事や家事をテキパキこなせなくなったというだけでは病気とは限りません。ただし、いびきが大きい、睡眠中に息が止まるなどの症状も併せてあれば、医療機関の受診をお勧めします。睡眠時無呼吸の治療によって、認知機能の改善や認知症の予防が期待できるからです。  気になる症状がある方は一度、医療機関を受診し医師にご相談ください。 睡眠医療センター担当医のご紹介 副院長兼神経内科診療部長兼睡眠医療センター長 兼認知症疾患医療センター長 若井 正一 医師 【若井医師の経歴】 昭和62年3月 名古屋大学 医学部を卒業 平成6年3月 名古屋大学大学院 医学研究科 卒業 名古屋第一赤十字病院、アメリカ・エモリー大学医学部神経内科、 名古屋大学医学部付属病院など勤務後、平成11年7月から掛川市立総合病院に勤務 平成25年5月1日からは引き続き中東遠総合医療センターにて勤務され、現在に至る 中東遠総合医療センターは、県から認知症疾患医療センターに指定されており、睡眠医療に積極的に取り組んでいます。 (TEL0537-21-5555)