P06-07 幼小中一貫教育を推進!  〜夢を抱き、たくましく次の一歩を踏み出す15歳の育成〜  3歳から15歳までの学びをつなぐ「幼小中一貫教育」。市では、これからの新しい時代を見据え、「自立力」と「社会力」を兼ね備えた子どもたちを育てるため、幼児期からの一貫した教育を進めています。一貫したカリキュラムに基づいた教育を幼児教育から中学校までの12年間行うことで、子どもたちの力を効果的に引き出していきます。   問 教育企画課幼小中一貫教育推進室 TEL44-3194 ◆一貫教育の背景  ◎現在、学校が抱えている課題   少子高齢化や核家族化の進行、情報化やグローバル化の進展など、社会環境の急激な変化などによって、学校教育には様々な課題が生じています。  市では、児童生徒の学習意欲の低下や学習のつまずきなどを抱えたままでの進級・進学、さらには不登校などの課題が顕在化しています。 袋井の学校教育の現状 ■学力が全体的に低い※1  全国の平均正当率との差 小6…▲3.0% 中3…▲2.2% ■自己有用感が低い※1  「将来の夢や目標を持っている」と思う児童生徒の割合   袋井市…小66% 中37% 全国…小70% 中45%  「自分には、よいところがある」と思う児童生徒の割合   袋井市…小32% 中30% 全国…小39% 中28% ■不登校や問題行動が多い(平成28年度調査)  小中学校における不登校児童生徒の発生率   袋井市…小0.49% 中4.77%   全 国…小0.48% 中3.01% ※1…平成29年度全国学力・学習状況調査 ◎これから求められる資質・能力  これからの時代は、AI(人工知能)をはじめとする技術革新が進展し、急激に社会・産業構造が変化し、将来が展望しにくい時代だと言われています。  来るべき新しい時代を生き抜くためには、幅広い知識と柔軟な思考力に基づいて、変化にたじろぐことなく、自立した人間として主体的に判断し、多様な人々と協働しながら新たな価値を創造するための力が必要です。 ◆なぜ一貫教育を進めるの? このような背景から、現在、市が抱えている課題を解決するとともに、これからの時代に対応できる子どもを育てるため、次の目的と3つの目標を掲げ、幼小中一貫教育を進めています。 【目的】 夢を抱き、たくましく次の一歩を踏み出す15歳の育成 【目標】 @学力の向上や不登校の減少 A社会生活で必要となる資質・能力(考える力)の育成 B家庭、地域、学校、行政が一体となった「オール袋井」による子育て体制の充実 ◆幼小中一貫教育とは?  幼児教育(3歳児から5歳児まで)3年間と小学校6年間、中学校3年間の12年間を一つの期間として捉え、系統的な教育を目指すものです。  市では、現在の4つの中学校区ごとに、現在の施設で施設分離型の一貫教育を推進しています。  学校間の教育活動の効率化と情報の共有化を図るため、ICT環境を有効に活用し、平成32年度までに4つ全ての校区で一貫教育を実施していきます。 ◆袋井の一貫教育の特徴  ◎考える力と自己有用感を育てる  新しい時代には、他者と協働しながら新たな価値を創造する力が必要です。  その基礎となる「考える力」を育てるため、教科において『思考ツール(※2)』を活用し、考えを深め合う授業を実施します。そして、「わかった」、「できた」という学びの実感を「自己有用感」の醸成につなげていきます。 ※2…頭の中の考えを形にすることができる図のこと。 ◎幼児期からスタート  全国的に、小中一貫教育の流れはありますが、本市は、幼児期を含めた教育プログラムを構成しているところが大きな特徴です。小学校からの学びを充実させるため、幼児期からスタートします。  幼児教育3年・小学校6年・中学校3年に区分けされている12年をつながりのある教育カリキュラムにすることで、子どもたちが安心して学ぶことができる環境をつくっていきます。 ◎幼児教育で学習の土台をつくる  今年度は、これまでの取り組みをさらに進め、幼児期と小学校のつながりを意識した「就学前教育・幼小接続プログラム」を実施。学習の土台となる「生活習慣」、「学びに向かう力(※3)」、「思考・表現の基礎となる力」を幼児期のうちに段階的に身に付けることで、安心して、意欲的に学校生活をスタートできることを目指します。 ※3…好奇心、協同性、がんばる力などを指す。読み、書き、計算などテストで測ることのできる力とは異なり、「非認知能力」ともいう。 「自立力」と「社会力」を身に付けた15歳に  鈴木典夫教育長  子どもたちを取り巻く環境は、めまぐるしく変化し、近い未来に社会人になる子どもたちには、定番のゴールを示してあげることはできません。できるのは、時代の向かうであろう大体の方向を示し、良いスタートを切らせてあげることだと思います。ゴールは、そこから自分で選ぶのです。  どんなに時代が変わろうと、子どもたちには変化を楽しみ、たくましく生きてほしい。幼小中一貫教育を通じて、一人で生きる力「自立力」とみんなで生きる力「社会力」をバランスよく身に付け、主体性を備えた15歳に育ってほしいと思っています。  義務教育の出口である15歳までの成長を中学校の教員だけでなく、小学校、幼稚園の教員も見守り、家庭や地域、行政も一体となって子どもたちの成長を支えていきます。