P21 輝くふくろいの人 世界に挑む若きレーサー 自転車ロードレース選手 寺田吉騎さん(見取) 「自分の力で遠くまで行ける楽しさと、ハイスピードで走るときの気持ち良さ。何より、レースで勝てるとすごく嬉しいんです」  笑顔で語るのは、寺田吉騎さん(18歳)。高校に通うかたわら、国内トップクラスの自転車ロードレース選手として、数々の大会に出場しています。 国内屈指の自転車選手  幼い頃から、自転車が趣味のお父さんと一緒によく遠出していた寺田さん。小学生になってロードレース大会に参加し始めると頭角を現し、いつも上位に入賞していたといいます。走る楽しさや勝負の魅力からすっかりロードレースが好きになった寺田さんは、中学生になると本格的な練習を開始。現在では、日本代表選手の1人として海外の大会にも参加するほどの選手に成長しました。  昨年11月に地元エコパで行われ、高校最後の大会となった全日本学生ロードレース・カップ・シリーズ 第7戦「東海道どまん中袋井ラウンド」では、その実力から大学生の部の最高クラスである「クラス1」へ出場。クラスメイトも応援する中、見事4位にランクインしました。 チームで戦う!ロードレースの魅力  長いレースでは300キロメートル近く走ることもあるロードレース大会。各選手が順位を争う個人戦の側面と仲間同士で連携してエースが走りやすい状況を作り、チームの勝利を目指す団体戦としての側面もあり、選手には速さだけでなく仲間の特長を生かす走り方が求められます。平坦な道が得意な寺田さんは、鍛えた持久力でチームに貢献します。 「普段の練習では、1日に60〜80キロメートル程度走っています。すごく疲れるし大変だけど、理想の走りに近づけるために必要なことだから、辛いとかやめたいと思ったことはないですね」 人の縁に恵まれ、新たなステージへ  数々の大会へ出場し実績を積み上げる中で、様々な人と出会い、その縁を成長につなげていく寺田さん。ライバルでもある同世代のトップ選手達が県外から自宅へ遊びに来て、一緒にエコパや秋葉山まで走りに行くこともあるといいます。  また、中学3年生のときには、寺田さんの走りを見て声を掛けてくれた若手育成団体監督の誘いで、大人の選手とともにタイなどへの海外遠征に参加したことも。そして、今年1月には、同監督の紹介でフランスのアマチュアチームへの所属が決まりました。4月から単身フランスへ渡り、プロ選手を目指して戦います。 「出会いに恵まれたおかげでここまで来れました。応援してくれる家族や同級生たちの期待に応えるためにも、まずはフランスで結果を出してプロ契約を獲得し、日本代表チームの一員として世界選手権大会で優勝するのが目標です。そして、いつか、世界最高峰のロードレース大会であるツール・ド・フランスへ出場したい」  袋井から世界へ飛び出し、新たな挑戦を始める寺田さん。憧れの舞台に立つ日を夢見て、走り続けます。