P04-05 袋井市の就学前教育・幼小接続 幼小中一貫教育で「学習の土台」を作る!  市では幼児期から中学校までの12年間を通して、自立した人間として主体的に行動する「自立力」と多様な人々と協働しながら新たな価値を創造する「社会力」を兼ね備えた子どもを育てる幼小中一貫教育を推進しています。  小学校6年・中学校3年の9年間に幼児期を含めた12年間の教育プログラムを構成していることが、本市の一貫教育の大きな特徴です。  小学校からの義務教育9年間が、より充実した学びの場となるよう、就学前の3歳児からの幼児教育で、子どもたちに学習の土台を身に付けさせていきます。 問 教育企画課幼小中一貫教育推進室 TEL44-3194 生涯にわたる学習の土台をつくる  本市の子どもたちの現状をみると、小・中学校においては、児童・生徒の学習意欲の低下や学習のつまずき、さらには、学年の進行とともに増大する不登校など、様々な課題があります。  このような現状を改善し、生涯にわたる学習の基礎をつくることを目指して、本市では、「就学前の教育・保育」が充実するよう取り組んでいます。 子どもの成長過程  子どもたちは、生活や遊びの中で、様々な経験や体験をし、よりよく生きるための基礎となる力を段階的に獲得していきます。  近年では、子どもの成長過程に関する研究が進み、就学前の教育が、その後の学習・成長に大きな影響を及ぼすとする調査報告に注目が寄せられています。  年少児期に「生活習慣」をしっかりと身に付けると、それが土台となって「学びに向かう力」が育まれます。  そして、学びに向かう力の成長が、「思考・表現の基礎となる力」の成長に結びつき、ひいては、小学校以降の様々な学習への深い理解につながっていきます。  幼児期に子どもの育ちを促す適切な環境を整えることで、小・中学校での学習を充実させていきます。 袋井市の就学前の教育・保育  市では、小・中学校での学びや様々な活動をより充実したものとするため、就学までに身に付けたい力を「生活習慣」、「学びに向かう力」、「思考・表現の基礎となる力」の3つの柱として整理し、年少児期から年長児期までの達成基準を整理した「就学前教育カリキュラム」を、市立幼稚園・保育所・こども園で取り入れています。  さらに、小学校入学時に子どもが環境に適応できない状況、いわゆる「小1プロブレム」を解消するため、幼児教育と小学校が学びのつながりを意識して教育活動に当たることができるよう、小学校入学前後に経験させたいことなどを整理した「幼小接続カリキュラム」を、各園と小学校が連携して実践しています。 プロジェクト型保育で学びに向かう力を育てる  また、学びに向かう力を育てるため、市立幼稚園では「プロジェクト型保育」に取り組んでいます。プロジェクト型保育とは、子どもたちが思い思いの発想で遊びを広げ、深めていけるよう、子どもの考えに寄り添いながら指導・助言などを行う保育のことです。取組の結果よりも、子どもたちが主体的に考えて行動するプロセスを大事にしています。  この保育のポイントは、大人の物差しや考え方を押し付けないことです。教員は、幼児のつぶやきやアイデアに耳を傾け、とことん寄り添います。  子どもたちは、主体的に遊び込むことができる環境で学びや体験を重ねることにより、豊かな発想や自信を備え、学びに向かう力を高めていきます。 家庭での子どもとの接し方  幼児期は、生涯にわたる学習の土台をつくる大切な時期です。  子どもと関わる際には、一人ひとりの内面にある芽生えを理解し、その芽を引き出し、伸ばすことを心掛けてください。子どもたちは、気持ちを受け止め、話を聞き、共感してもらえると、意欲的に物事に向かうことができるようになります。  本市では、このように就学前の教育・保育の質を高め、幼児期からの一貫した教育を推進することにより、学力向上や不登校対策につなげるとともに、「新しい環境に適応する力」を持った子どもを育み、市が目指す子ども像である「夢を抱き、たくましく次の一歩を踏み出す15歳」を育成していきます。 「学びに向かう力」(非認知能力)とは 好奇心、協同性、がんばる力などのこと。テストで測ることのできる読み・書き・計算などとは異なり、非認知能力とも呼ばれ、 生涯を通じて必要となる「自立力」と「社会力」の基礎となります。 例えば、次のような内容がそれにあたります。 好奇心 ・分からないことを大人に尋ねる ・不思議に感じたことを考えたり試したりする 協同性 ・みんなと仲良く、力を合わせて活動する ・自分の気持ちを伝えたり、相手の意見を聞いたりする 考えを伝える力 ・自分がしたいことやしてほしいことを大人や友達に伝える がんばる力 ・物事をあきらめずに最後まで取り組む 「学びに向かう力」を引き出すために! 子どもの意欲を尊重する ・子どもの気持ちを受け止める ・子どもがやりたいことを尊重する ・子どもの意見や要望を優先させる ・叱るとき、子どもの言い分を聞く 子どもの思考を促す ・子どものよい聞き手になる ・子どもの中にある考えや言葉を受け止め、引き出す ・子どもと同じ目線で興味をもったり、共感したりする