P05 おしらせピックアップ 自宅で眠っている“古文書”などはありませんか?  和紙に墨で書かれた古い文書が昔から家にあるが、どうしていいのか分からない。今まで家で保管してきたが、管理に困っている。このような時は、悩んだり処分したりする前に、歴史文化館までご相談ください。歴史文化館では、地域の歴史を調べる材料として、そのような資料の寄贈を受け付けているほか、所有権を移さずにお預かりする寄託も行っています。 問 歴史文化館 TEL23-9269 どんなものだったら連絡すればいいの?  歴史を調べる材料として、いわゆる「古文書」の類を例にあげましたが、地域の歴史を伝えてくれるのは、様々な時代、様々な形の歴史資料です。古文書はもちろん、明治時代から昭和の歴史資料なども歴史文化館では取り扱っています。  当時の人が何かをメモした紙片などでも大歓迎です。今よりちょっと昔の時代の、何かありそうな古い書類がありましたら、ぜひご連絡ください。 ◎古い時代の文書の例 ・墨を使って和紙に崩し字で書かれたものなど(主に江戸時代以前の書類) ・明治から昭和の時代までの書類や記録など(日記や手紙、手帳、写真などを含む) ・自治会などの団体の古い記録や資料など ぐちゃぐちゃの資料はぐちゃぐちゃのままで  昔の書類は、ぐちゃぐちゃにまとめられて、塊になって保管されていることが多くあります。思わず整理したくなってしまいますが、実はこうして塊になった状態そのものが、貴重な歴史資料なのです。重なり方や紙の折り目から、前後の書類との関係や、書類が書かれた時期、書いた人物が判明することがあります。逆に、途中で誰かが整理してしまったために、何の書類か分からなくなってしまうこともあるのです。  歴史文化館では、保存されていた状態を写真に撮って記録しています。ぐちゃぐちゃの資料は、ぐちゃぐちゃのままの状態でお持ちください。 こんな紙片からも歴史が分かる! 古文書こぼれ話 「米を煎って飴で固めたものはお菓子ですか?」  右の文書は、明治20年1月に春岡村外二ヶ村戸長(今の春岡地区などを管轄していた当時の役人)の長谷川四郎次が、静岡県に宛てて書いた伺い文です。内容の主要部分はおおよそ次のとおり。「米を煎って飴で固めたものは、お菓子ですか?お菓子じゃない気がするのですが、菓子だという申し出もあるものですから…」。これに対する県の回答は左側の朱書部分で、「伺いにあるとおり、菓子の範囲内と心得るように」と書かれています。  何でこんなことを県に確認するのかと思いますが、実はこれはとても大事なこと。この当時は「菓子税則」という、お菓子に掛かる税金があったのです。当時は輸入砂糖の増加による国内産業の萎縮があり、保護貿易をしようにも条約改正前で関税がかけられず、代わりに砂糖を多く使うお菓子に課税されました。お菓子かどうかは、課税か非課税かの大問題だったわけですね。  このように一見何気ない内容でも、調べてみると当時の国際情勢や財政問題などに関わるものも多くあります。昔のちょっとした文書でも、歴史的な広がりを持っているのです。  ちなみに明治18年5月に出されたこの「菓子税則」は、その後、廃止運動が全国的に展開され、日清戦争後には廃止されました。