P04-05 〜「オール袋井」で取り組む幼小中一貫教育〜 社会総がかりで子どもを育む  市では幼児期から中学校までの12年間を通して、自信と責任を持ち、自分で考え行動する「自立力」と他者を認め協働する「社会力」を兼ね備えた子どもを育てる幼小中一貫教育を推進しています。  その目標の一つに、「家庭・地域・学校・行政が一体となった『オール袋井』による子育て体制の充実」があります。子どもたちは、学校や幼稚園の先生だけでなく、地域の人々に支えられてたくさんのことを学んでいます。学校・地域・コミュニティセンターなど、様々な場所で展開されている取組を紹介します。 問 教育企画課幼小中一貫教育推進室 TEL86-3122 授業や保育への支援 ◎竹一チャレンジ  全校で竹馬と一輪車に取り組んでいる周南たちばな学園三川小学校では、地域の方が月に1回来校して、児童に乗り方を教えています。子どもにとっては自分の成果を認めてもらえる場として、地域の方にとっては子どもとの交流の場として好評です。ともに頑張りや喜びを分かち合い、元気とパワーをもらえる活動となっています。 ◎今井幼稚園を見守る会  周南たちばな学園今井幼稚園では、同会の皆さんが園の環境整備や保育の安全に協力。夏場の川遊びの際には、オレンジのベストを着て一緒に太田川に入り、園児の川遊びを見守っています。  このほかにも、小学校の家庭科の授業時における「裁縫やミシンの使い方の指導」や地域の事業者の協力により実施している「中学2年生の職場体験」など、学校や幼稚園の授業や保育で、地域の皆さんによる様々な支援活動が行われています。 放課後の学習支援 ◎「子ども刮目舎」の取組  袋井あやぐも学園袋井東小学校の児童を対象に勉強や体験学習の支援を行っている「子ども刮目舎」では、放課後、英語学習を中心に、学校授業の復習や地域探検などを実施。楽しみながら子どもたちの学びを支えています。 ◎「南の丘寺子屋」の取組  南の丘学園袋井南中学校の生徒を対象に学校授業の復習やテスト勉強などを支援。地域住民による支援メンバーの中には教員経験者もいて、数学などの難しい問題でも指導可能です。 「放課後子ども教室」で、学校や家でできない体験を  放課後子ども教室は、地域との協力のもと、子どもが地域の大人や異年齢児童との交流などの体験を通じて、社会性や自主性、創造性を養うとともに、地域社会で一丸となって、子どもを育むことを目指す取組です。  現在、市内の7小学校区で実施していて、250人以上の児童が、昔の遊びや軽運動などをはじめ、“学校や家庭では体験できない活動”を、地域の方々と一緒に楽しんでいます。 「心ゆたかな人」を育てる環境と風土をこれからも  本市では、従来から地域の皆さんが地域の子どもを見守り、育てる取組が数多く行われてきました。また、学校では体験できないことを地域の支援により体験して学んできました。  子どもたちは地域の支えや関わりを通して様々な力を磨き、社会の一員であることを知ることで、次代を担う人材として育ってきたのです。  このようにして脈々と受け継がれてきた歴史や文化、伝統は、これからの時代にあっても大切にしたいものです。  家庭をはじめ、地域や学校が総がかりで「心ゆたかな人」を育てる環境や風土を、これからも大切にしていきます。 支援を通じて、地域の子どもを地域で育てる ともえサポーターズ 寺田俊夫代表  袋井北小学校を地域で支えるボランティア団体「ともえサポーターズ」では、「できる時に、できる事を、できる人が」を合言葉に、学校の環境整備や学習支援に取り組んでいます。  支援を通じて児童や学校との交流を深めるとともに、時には地域の意見を学校に伝えるなど、双方向の取組で地域の子どもを支えていきます。 学校の活動から地域の活動へ  浅羽学園笠原小放課後子ども教室の取組  「笠原と言えば太鼓。そのくらい地域の宝となっています。子どもたちと一緒にこの宝を守っていきたい」  まだ子どもがいない体育館で大きな和太鼓を準備しながら、地域の方々が話します。  笠原小学校の和太鼓の歴史は、平成14年に校舎の一角から古い太鼓が発見されたことに遡ります。以来、和太鼓の演奏が学校の活動に取り組まれ、各種の行事やイベントで披露するなど、地域にも認められる学校文化として根付いてきました。  学校の取組としてスタートし、地域の伝統へと育った同校の和太鼓は、今年度、地域の活動として生まれ変わろうとしています。  毎週水曜日、学校の授業を終えた4・5年生16人が地域の方の協力のもと、伝統の笠原太鼓に汗を流しています。  「学校でやっていた時ほど練習がたくさんできるわけではないので、まだまだこれからですが、それでも少しずつ音がそろってきました。この子たちが笠原太鼓19代目。初代の子たちは、今はもう社会人です。いつの日か、皆で一緒に演奏できる日を夢見ています」  そう話すのは、笠原太鼓を教える伊藤悦子さんと岡本富恵さん。練習に励む5年生の竹内暖果さんも、「これから100年先も1000年先も、この地域に笠原太鼓の音が響いてほしいです」と力強く話してくれました。  太鼓を通して、地域の大人が地域の子どもを育てるこの取組は、まだ始まったばかりです。太鼓をやりたいという子どもの思いと、地域の宝を守りたいという大人の願いが調和し、太鼓の響きが今一つになろうとしています。