P02-03 袋井市社会教育委員からの5つのメッセージ 心ゆたかな子どもを育てるための家庭や地域での関わり 子どもの社会性を地域で育むために  市では、「袋井市の教育が目指す子ども像」として、「自立力」と「社会力」を兼ね備えた子どもの育成を掲げています。  市社会教育委員会では、この2つの力を併せたものを「社会性」と定義し、子どもの社会性を育むために社会教育の側面から必要なことや取り組むことを、5つのメッセージにまとめました。  家庭で、そして地域全体で社会性のある子どもを育んでいくため、皆さんもぜひ実践してください。 問 生涯学習課生涯学習係 TEL86-3191 子どもに関わるすべての方への5つのメッセージ 【主に保護者の方々へ】 1 子どもの頑張りを素直に認め、声に出して褒めてあげよう  褒めてもらうこと、認めてもらうことで、子どもは自分が価値のある大切な存在だと気付きます。また、それを自認することで初めて、他者も大切な存在であると思うことができるのです。  子どもの可能性を引き出すためには夢や目標を持たせることが大切です。 長所や良いところを見つけて、褒めたり励ましたりすることは、やりがいや次の行動への意欲にもつながります。 2 子どもの声にしっかりと耳を傾けよう  親は子どもを自分の一部や分身のような目線で見てしまいがちですが、子どもは生まれたときから親とは別の人生を歩み、自分自身の思いや価値観を身に付けて育っていきます。  大人と比べると、自分の言葉で表現できなかったり、知識の量も少なかったりしますが、思いや価値観に年齢や立場は関係ありません。  親の基準で子どもの存在(思いや価値観)を決めつけず、まずは受け容れること。そして、子ども自身の目指すゴールに向けて、共に進むことが大切です。 3 「ありがとう」を言葉にして伝えよう  今、教育の場では「自己有用感」の重要性が叫ばれてます。  自己有用感とは、自分が誰かの役に立っている、喜んでもらえている、所属する集団などに貢献できていると感じ、自分を前向きに捉えることができる感情です。この感情は、自分への自信を高め、自分をより良くする行動が選択できる子どもを育てます。  「手伝ってくれてありがとう」「生まれてきてくれてありがとう」など、様々な場面で発せられる「ありがとう」という感謝の言葉は、子どもの自己有用感を高めてくれるものです。  「ありがとう」と言われたときのうれしい気持ちは、子どもの心に蓄えられていきます。どんなにささやかな「ありがとう」でも、1つひとつ蓄えられていくことで心の大きな支えとなるのです。  また、「ありがとう」と言われて育つことで、他の人にも自然に「ありがとう」が言える子どもになっていきます。 4 「おはよう」の挨拶から始めよう  朝起きて、家族で「おはよう」の言葉を掛け合っていますか?挨拶はコミュニケーションの第一歩、「おはよう」は1日の始めの挨拶です。  子どもは親の姿をよく見ています。挨拶ができ、夫婦や親子の仲も良く、会話や笑いの多い家庭では、子どもの心にも“ゆとり”が生まれます。心の“ゆとり”は、思いやりの心や人のことも考えられる心を育む上で大切なものです。  「おはよう」の挨拶から、毎日の言葉のキャッチボールを始めましょう。 【主に地域の方々へ】 5 つながりあい、参画しあう場を通して「市民」を育てよう  地域での人のつながりは、近隣の住人や身近な人を、今よりももう少しだけ気に掛けることから始まります。  地域の大人が総がかりで子どもを気に掛けて関わり、育てていくことで、子どもの心にも地域の人たちとのつながりが生まれます。また、多様な大人が関わることは、多様な見方で子どもを育てることにもつながります。  コミュニティの一員であることを自覚するためには、大人も子どもも、そのコミュニティでの自己の役割や必要性を感じとれることが重要です。  例えば、地域の行事やイベントなどで、子どもが主体的に参画できる場面を設けるとともに、地域の困りごとへの対応や課題解決のための話し合いの場などにおいても子どもの意見を聞いたり、考えを取り入れたりするなどしていきましょう。また、その際には、子どもの考えだからと軽視することなく、コミュニティの一員の意見としてしっかり受け止めていくことが必要です。  社会教育委員からの提言内容について、詳しくは市ホームページをご覧ください。 社会教育委員と今回の提言  社会教育委員は、社会教育法に基づき自治体が設置するもので、社会教育に関する様々な計画を立案したり、必要な研究調査を行ったりしながら、教育委員会に助言する役割を担っています。  本市では学識経験者などからなる11人が、教育委員会から委嘱を受けて社会教育向上のために活動しています。  今回の5つのメッセージは、令和元・2年度期の社会教育委員が2年間の意見交換等を経て、今年3月に市教育委員会に提出した提言内容の一部です。 コロナ禍やICTの時代を生きる子どもに求められる新たな社会性 ◎社会の構成員の1人としての意識  新型コロナウイルスの感染拡大により、今、私たちは「新しい生活様式」を踏まえた生活を送っています。これは子どもも同じです。社会を維持するためにどうすればいいかを考え、他者に配慮する行動につなげるなど、社会の構成員の1人としての意識が求められています。 ◎リアルとオンラインの使い分け  コロナ禍において浸透が加速しているオンライン上でのコミュニケーション。「リアル」での直接対面と「オンライン」による画面越しでのやり取りの両方の体験を通じて、それぞれが果たす役割や意味、人間関係の築き方の違いなどを学ぶ機会となっています。  オンラインでは、直接の対話の場ならば許される言葉のあいまいさや雰囲気での理解が難しいため、意見を言葉で論理的に伝えることや自ら発信する意思がこれまで以上に必要とされています。 ◎ICTとの上手な付き合い方  ICT機器を使う機会が増えたことにより、子どものインターネット依存やSNS上での誹謗中傷、子ども自身が被害者や加害者となる犯罪などが全国で増えています。主体的・自律的なICT機器の使用が大きな課題です。  また、AI技術等の進展により、今後、職業や人間の果たすべき役割が大きく変化していく中、それを見据えた能力や資質の育成が求められています。 いつの時代でも変わらない大切なこと 令和元・2年度期 市社会教育委員会 大椙弘順 委員長  今回お伝えした5つのメッセージは、どんなに時代が変わっても、子どもの社会性を育む上で変わることのない本質的な事柄です。家庭で、そして地域で、子どもと接する際の気付きとなれば幸いです。