P16 輝くふくろいの人 窓から臨む緑豊かな風景のもと コーヒーと共に癒やしの時間を提供 田園かふぇ・オアシス代表 飯田陽造さん(小川町) 「使う豆はもちろん、挽き方やお湯の量、注ぎ方などで味は大きく変わってくるんです」  挽きたての豆に適温になったお湯をゆっくりと注ぎ、深みのある香りを周囲に漂わせながら話すのは飯田陽造さん・73歳。  毎月第2・4水曜日に、地元の高南コミュニティセンターで地域のコーヒー愛好者が集まるサークル「田園かふぇ・オアシス」を開催しています。 定年退職後、独学でコーヒーを勉強  飯田さんが本格的にコーヒーを究め始めたのは、会社を定年退職をした13年前。若いころから自分でコーヒーをいれていて、ある程度の知識はありましたが、インターネットでコーヒーに関する動画を視聴するなど独学でその知識を更に深めました。 自分がいれたコーヒーを飲んで喜んでくれる人の顔を見て  1人でコーヒーを楽しんでいた飯田さんがサークルを立ち上げたのは、地域でのボランティア活動がきっかけでした。 「ある時、『高南地区居場所づくりのボランティア』の募集があって、それに応募したんですね。そこでコーヒーをいれて振る舞ったところ、『こんなにおいしいコーヒーは初めて』とみんな喜んでくれて。  その後も、コミセンのイベントやデイサービスなどで毎回70杯から100杯のコーヒーを提供する機会があって、飲んだ人の笑顔を見ていく中で『もっと多くの人に本格的なコーヒーを飲んでもらい、コーヒーの文化を広げたい』と思って、3年前に『田園かふぇ・オアシス』を立ち上げたんです」  サークルの名前は、袋井の田園風景を眺めながら、自身でいれたコーヒーをみんなで楽しむ憩いの場にしたいという思いから。飯田さんの知識を生かして夏はアイスコーヒーやコーヒーゼリー、冬はアフォガート(※)を豆を挽くところから作るなど、コーヒーの魅力を広める様々な活動をしています。最初は5、6人だったメンバーも今では14人にまで増えました。 ※バニラ風味のアイスクリームに飲み物をかけたもの。熱いエスプレッソやコーヒーをかけることが多い。 「おいしいコーヒー」とは?  笑顔と和やかな会話に包まれた「田園かふぇ・オアシス」で、おいしいコーヒーをいれようと試行錯誤するメンバーたちを温かいまなざしで見つめる飯田さんに、おいしいコーヒーについて伺うと、「どういうコーヒーがおいしいか決まりはないよね。人によって好みは違うし、だんだん自分の好みも変わってくるから、使う豆や豆の挽き方、お湯の量や注ぎ方など、いろいろ試して自分の思う『おいしいコーヒー』を常に追い求めていきたい。みんなにも、自分に合う味を見付けてほしいな」との回答。  今後はコーヒーに合うお菓子作りにも挑戦し、いつかサークルのメンバーと一緒に味わいたいと笑う飯田さん。歳を重ねても、コーヒーに対するこだわりやみんなの喜ぶ顔を見たいという思いが、新しい活動を始める原動力となっています。