P17 輝くふくろいの人 子どもの育ちを地域みんなで支える新しい居場所づくり あそびば もこ・あ・もこ 代表 篠田久美さん(今井地区) 「子どもは思い思いに自由に遊び、大人は一緒に遊んだり、ちょっと一息したりできる…そんな場所をつくりたいんです」  そう話すのは、篠田久美さん・42歳。小学生までの子どもとその保護者のための居場所『あそびば もこ・あ・もこ』を、昨年10月から月見の里学遊館や袋井北コミュニティセンターで開催しています。 長年の夢の実現に向けて千載一遇の機会に挑む  『これまでの経験を活かして袋井市で何か子どもに関わる新しいことを始めたい』…そんな思いを漠然と抱き、長年勤めていた児童福祉関係の職場を3月に退職した篠田さん。次は何をしようかと今後の目標を探していたとき、静岡県が子どもの居場所づくりの活動拡大などに必要な資金調達に取り組む団体等を支援するため、クラウドファンディング型のふるさと納税による寄附を募る事業の企画提案を募集していることを知りました。 「15年以上子どもに関わる仕事をしてきた中で、親子関係や子どもの発達の課題は顕在化してから対応するのではなく、予防的な観点で早期の子育て支援や早期の療育(※)が必要だと痛感してきました。そのため、『いつか子育て支援の活動をしたい』と思っていたんです。また、昨年2月に『ふくろい子育てネットワークみんなのぽっけ』が行ったアンケートでは、『市の北部地域に小学生の放課後の居場所が欲しい』『子育ての悩みを気軽に相談できる場所が欲しい』という意見が出ていました。クラウドファンディングを通して、このような悩みを自分がサポートしていきたい、そんな活動の必要性を社会に伝えていきたいと思ったんです」  このときすでに、募集期限まで約1か月。急いで子どもに関わる仕事をしてきた仲間などに声を掛け、ボランティア団体「あそびば もこ・あ・もこ」を結成しました。そして、「市の北部地域で小学生までの子どもとその保護者等が安心してくつろげる遊び場(居場所)を定期的に無料で開催する」という企画提案で応募。その結果、企画提案は採択され、クラウドファンディングによる寄附募集も熱心な広報活動が実を結んで10月31日に目標金額を達成し、篠田さんは夢への一歩を踏み出したのです。 心地よい居場所づくりのために  寄附で得た資金は、主におもちゃの購入に充てていくという篠田さん。おもちゃには、あるこだわりがあります。 「『あそびば もこ・あ・もこ』で用意するおもちゃはアナログなものだけです。乳幼児向けには考えながら遊ぶことで発達を促す積み木やパズル、小学生向けには複数人で遊べてコミュニケーション能力の向上につながるボードゲームなどを用意しています。  子どもが夢中になっておもちゃで遊んでいる間、保護者は心理士・保育士・助産師などの専門職のスタッフやほかの保護者等に子育ての悩みを気軽に相談することができます」   新たな目標に向かって  『あそびば もこ・あ・もこ』をスタートさせた篠田さんは、すでに次の目標を定め、準備しています。0歳から6歳までの子どもの個別療育を専門とする児童発達支援事業の立ち上げです。 「これまで発達に特性などを持つ子の保護者の方とも関わってきました。早期に専門的な機関とつながることで、子どもの発達を促進し、身体の不調など二次的な問題を予防することができるといわれています。また、保護者もその子に合ったコミュニケーションの取り方を知ることができます。この事業を通じて子どもと保護者のペースに合わせ、寄り添いながら丁寧な支援を行っていきたいです」  篠田さんの活動により、袋井市の親子の未来がさらに明るくなることを願っています。 ※ 医療や訓練・教育・福祉などを通じて、障がいがあっても社会に適応し自立できるように育成すること