P02-03 幼小中一貫教育×幼児教育センター 幼児教育・保育を支える先進的な取組 子どもたちの未来を支える幼児教育センター  市では幼児期から中学校までの12年間を通して、自立した人間として主体的に行動する「自立力」と、多様な人々と協働しながら新たな価値を創造する「社会力」を兼ね備えた子どもを育てる「幼小中一貫教育」を推進しています。  小学校からの9年間の義務教育が子どもにとってより充実した学びの場となるよう、「幼児教育センター」を開設し、様々な活動を行っています。就学前の子どもを支える同センターの取組について紹介します。 問 教育企画課幼小中一貫教育推進室 TEL86-3122 袋井市の幼児教育施設の現状  小学校入学前の0〜5歳の子どもが通う幼児教育施設について、本市では平成30年度を境に、幼稚園よりも保育所(園)やこども園などの入園者が上回るようになりました。  この背景には、家庭や社会を取り巻く環境の変化により、子どもを小さいうちからでも長時間預けることができる「保育」へのニーズの高まりがあるもので、市でも保育所(園)やこども園等の整備を積極的に進めてきたところです。  3月現在、市内には40の保育所(園)やこども園等の保育施設がありますが、このうちの35施設が私立園で、各施設ではそれぞれの保育理念や教育方針などにより、特色ある様々な教育・保育が展開されています。 保育施設の抱える課題  公立・私立の別を問わず、保育所(園)やこども園などには、その性質上、ある共通の課題があります。それは「職員研修の時間の確保」と「小学校とのつながり」です。  幼稚園よりも子どもを預かる時間が長い保育所等では、保育士は交代制の勤務を組んでいます。このため、全員そろっての研修が難しく、効果的・効率的な研修の手法が求められます。園によっては、講師への複数回の研修依頼や時間の確保自体にも苦慮するところです。  また、公立幼稚園と異なり、保育所等には基本的に園区がないため、就学先の小学校は複数にまたがります。市内遠方の小学校へ就学する園児も少なくない中、就学先となる複数の小学校との連携は、保育所等だけでは解決しにくい課題となっています。 幼小中一貫教育の仕組みを課題解決への取組に生かす  市が推進している幼小中一貫教育では、子ども一人ひとりが円滑に学校生活を送ることができるよう、人格形成の基盤となる幼児期の教育と学校教育とのつながりを大切にしています。  この目的の達成に向けて、市では、幼児教育施設の種類や規模、運営主体などにかかわらず、幼児教育の質を向上し、就学先となる市内全ての小学校との連携を図るため、令和2年8月から市教育委員会内に「幼児教育センター」を設置しました。  現在、2人の幼児教育アドバイザーが市内の小学校と幼児教育施設をつなぐ活動を行っています。 幼児教育センターの役割や取組  幼児教育センターの役割は、保育士や幼稚園教諭等への研修機会の提供、幼児教育施設への各種助言・情報提供、教育・保育の質の向上に向けた調査研究など幅広いものですが、今、特に力を入れているのが次の2つの取組です。 ◎各施設のニーズに合った研修支援  幼児教育アドバイザーが各施設を直接訪問し、保育の在り方や教育支援の方法など、それぞれの幼児教育施設のニーズに合った研修支援を行っています。  保育士や幼稚園教諭等の都合に合わせた柔軟な日程調整はもちろんのこと、コロナ対策や複数園対象の合同研修として、リモートでの研修会なども実施しています。 ◎小学校への架け橋づくり  市内のどの園から、どの小学校に就学しても、子どもも保護者も安心して入学できるよう、5歳(年長)児の小学校への円滑な接続に関する様々な活動を行っています。  具体的には、子どもの姿や実態を中心においた「連絡会(※)」の充実や、小学校での4月からのスタートカリキュラムの工夫・調整などです。 今まで以上に一人ひとりの子どもを大切に  市の幼児教育センターの取組はまだ始まったばかりであり、今後も様々な取組や支援体制の強化などが必要です。  幼児教育・保育の質を高めるため、また、子どもたちが小学校との接続でつまずくことのないよう、市の目指す幼小中一貫教育の姿の実現に向けて、今後も積極的に活動し、子ども一人ひとりの学びと育ちを今まで以上に支えていきます。 袋井市幼児教育センター 所 市教育会館1階(新屋1-2-1) 事務局:すこやか子ども課内 TEL86-3332 職員5人(うち、幼児教育アドバイザー2人) https://fukuroi-education.edumap.jp ◆幼児教育への理解を深め、子育ての参考となる「センターだより『つむぐ』」を、月1回ホームページ上で発行しています。 子どもの今と未来の笑顔のために 幼児教育アドバイザー 深田 勝 さん  一人ひとりの子どもをしっかり理解し、その子に合った援助を行うことが幼児教育の一番の基本です。どの子も楽しく、共に育つことのできる環境や援助につなげられるよう取り組んでいきます。 小学校側の意識も変化  「南の丘学園」の事例  幼児教育センターの取組により、市内の様々な幼児教育施設から新1年生を受け入れる小学校側の意識も変わってきています。  袋井南小学校や高南小学校が所属する「南の丘学園」(市幼小中一貫教育における袋井南中学校区範囲の学園区の名称)では、来年度の1年生のためのスタートカリキュラムを、同学園内の幼稚園・保育所(園)の先生たちや小学1年生の担任教諭、幼児教育アドバイザーなどで話し合いを進めながら作成しました。  入学後の時間割を「せいかつ」「なかよし」「まなび」の3つの区分で設定し、小学校の授業時間の45分枠にとらわれることなく、緩やかな時間の流れの中で学校生活をスタートできることが特徴です。このカリキュラムを通し、入学後4週間程度をかけて国語や算数などの授業へ移行していきます。 また、様々な園から入学してくる子どもたちと上手に人間関係を築いていくための活動や工夫なども取り入れています。 園と連携し、スムーズな就学へ 南の丘学園 袋井南小学校 主幹教諭 谷 勉 先生  円滑な幼小接続には、児童のこれまでの経験や生活リズムを尊重することが不可欠です。各園での先生方の取組や児童への思いを今度は私たちが引き継ぎます。