P20 輝くふくろいの人 袋井の海から世界の舞台を目指して挑戦を続ける若きサーファー ジュニアサーファー 森大斗さん(西同笠) 「僕が思うサーフィンの一番の魅力は全身で感じる自然。常に動き続ける波に挑むのはとてもワクワクします」  海を眺めながらそう話すのは、森大斗さん・17歳。現役高校生ながら、数々の大会で表彰台に立つ、国内トップクラスのジュニアサーファーです(取材時、(一社)日本サーフィン連盟のジュニアクラスでのランキング1位)。 幼い頃からサーフィン一筋 小学生にして単独海外遠征も  両親、母方の祖父がサーファーという環境に生まれた森さんは、乳児期から海に慣れ親しみ、5歳の頃には自然とサーフボードに乗っていました。毎日のように父の指導を受け、その技術は日々上達。小学生の頃から何度も表彰台を経験し、同世代のサーファーの中で頭角を現す存在となりました。  12歳の時には初の単独海外遠征で、サーフィンの聖地として名高いオーストラリアへ。そのほか、インドネシアやハワイなどへの遠征を重ね、サーフィンの技術を高めていきました。現地での会話には、小学3年生から勉強していた英語が役に立ち、多くの海外サーファーとの交流も経験できたといいます。  そんな森さんの毎日はサーフィン中心です。午前4時30分には起床し、自転車で地元の同笠海岸や豊浜海岸へ。2時間ほどサーフィンをした後は、トレーニングや通っている通信制高校の課題に励み、夕方になると再び海岸へ向かい、日没まで波に乗り続けます。 コロナ禍で見舞われた思わぬ負の連鎖  大会や練習のために国内外を飛び回っていた森さんにとって、新型コロナウイルス感染症拡大の影響は甚大だったといいます。 「外出制限が厳しかった頃は地元の海岸まで閉鎖されました。全く練習が出来ない時期が続いて、ひたすらもどかしかったです。  海岸が使えるようになってからも大会は軒並み中止になって、仲間との交流も途絶えてしまい、『自分は何に向かって練習しているのか?』ともやもやした気持ちを一人で抱えていました」  そんな状況の中、約1年ぶりに開催された大会に出場。日頃の練習の成果を出し切ろうと挑みましたが、結果は振るいませんでした。 「仲間がどれくらい成長しているのか、自分がどれくらいの位置に立てるのか…様々な不安を抱えつつも『いつも通り勝たなきゃ』と自分に強いプレッシャーをかけていたんだと思います」  森さんは、この大会を境にスランプに陥りました。「大会が嫌だ」という気持ちまで湧いてきたといいます。  そんなときに支えになったのは、家族や応援してくれている周囲の人たちでした。元気がない森さんを見て、多くの励ましの言葉を掛けてくれたといいます。また、東京2020夏季オリンピックのサーフィン競技会場・釣ヶ崎海岸(千葉県)の近くに住むサーフィン仲間は、森さんを家に招き、1か月もの間素晴らしい練習環境を提供。多くの人たちに助けられ、森さんは徐々にモチベーションを取り戻しました。  そして挑んだ昨年10月開催の「第29回ジュニアオープンサーフィン選手権大会(2021)」。ジュニア部門で日本最大規模のこの大会に前向きな姿勢で挑んだ結果、4位に入賞。見事スランプからの脱却を果たしたのです。 地元の海岸への思い  数多くの海岸へ足を運んできた森さんですが、やはり一番は地元の海岸であると語ります。 「生まれたばかりの頃からほぼ毎日来ている地元の海岸は、僕の成長をずっと見守り続けてくれています。僕がいつか日本を代表するサーファーになって、大好きな地元の海岸のにぎわいに貢献できるといいなと思います」  オリンピック出場という大きな目標を掲げている森さん。目標に近付くため、森さんは今日も海岸へ向かいます。