P20 輝くふくろいの人 SDGsでより良い未来を考える新たなコミュニティ ろいっこSDGs 代表 杉井弥生さん(豊沢) 「『ろいっこ』は『ふくろいっこ』の略。でも、ろいっこSDGsは子どもだけでなく、周りの大人にも次の世代が生きる健やかな未来について考えてもらいたいと願って活動しています」  そう話すのは、杉井弥生さん・47歳。5つの子ども英語サークルで講師を務めながら、親子を対象にSDGsに関連する講座などを主催する市民団体「ろいっこSDGs」の代表を務めています。 若者たちにもっと未来のことを考えてもらいたい  外国語に興味があった杉井さんは、東京外国語大学でタイ語・ラオス語を専攻。語学や社会情勢を学ぶうちに、発展途上国の経済開発について興味がわき、その現状を勉強する中で、気掛かりになったことがあったといいます。 「世界各地の人々の暮らしが便利で豊かになっていく期待の一方で、交通量の増加や開発のための大規模な森林伐採が深刻な環境問題をもたらすのではないか。これは発展途上国だけの問題ではなく、先進国を含めた世界的な課題となっていくのではないかと思いました」  以来、環境保全に関心を持ち、家庭の生ごみは堆肥化して園芸に使用、子育てでは自然に親しむことを心掛けるなど、普段からできるエコ活動を積極的に行ってきたといいます。  そんな杉井さんの大きな転機となったのは、ごみの減量化のために令和3年度に市が各コミュニティセンター等で開催した、ごみ処理有料化についての市民説明会でした。 「様々な世代の意見を聞きたくて、3つの会場に足を運びましたが、どこも若者の姿が少なかったんです。環境保全のためにも、ごみの減量化は大切な取り組み。未来を担う若者たちにもっと環境問題に興味を持ってもらうための活動をしようと決めました」  小学校の英語講師や学習支援の場など、教育現場での勤務経験もあった杉井さんは、教育分野にも関心があり、環境と教育の両方をテーマに活動したいと考えた結果、たどり着いたのがSDGsだったといいます。 「自分のやりたいことを改めて整理してみたら、SDGsの考えに沿っていると気づいたんです」  そして今年4月にろいっこSDGsを設立。6月には市の「協働まちづくり事業」に採択されました。 子育て世代への配慮も大切  現在、ろいっこSDGsの活動には杉井さん主催の子ども英語サークルの参加者を始め、多くの親子が参加。今年度は小学生とその保護者を対象に環境保全に焦点を当て、生ごみの堆肥化体験や温暖化対策についての学習講座を行うほか、ごみ処理関連施設の見学や他の団体が主催の環境美化活動への参加など、幅広い活動を予定しています。  積極的に活動するろいっこSDGsですが、杉井さんが意識しているのは「ゆるいコミュニティ」です。 「日々子育てに追われる保護者にとって、団体との密接なつながりが負担にならないよう、参加したい日だけ参加してもらいつつ、気軽にお手伝いいただけそうなことはお願いしながら、このコミュニティを維持できればと思います」 将来の目標を実現するために  子どもたちの学習支援活動や市の特別支援教育を知るための保護者向けの勉強会など、教育に関する活動も展開していきたいという杉井さん。 「今は、SDGsの17の目標のうち、主に環境や教育に関連するものに着目していますが、全ての目標は相互に関連していると思います。最終的には、これからの未来についてみんなで全ての目標の視点から考え、具体的なアクションにつなげていきたいですね」  多くの人にSDGsに親しみをもってもらえるよう、杉井さんは今後も様々な企画に挑戦していきます。 ※Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略で、世界中にある環境問題・教育・貧困・人権問題などの課題を、2030年までに解決するための計画・目標。 ★講座の様子を22ページの「ふくろい日記帳」でも紹介しています。