P02-03 守り、活かし、そして未来へ伝える 市内文化財の確実な継承や活用へ 袋井市文化財保存活用地域計画 を策定しました  市では、地域の貴重な文化財の維持が難しくなっていることなどを踏まえ、市民一人ひとりが文化財の価値を改めて認識し、それを地域総がかりで守り、コミュニティの再生や観光、まちづくりなどに活用することで次代へ継承していくことを目的に、「袋井市文化財保存活用地域計画」を策定。令和4年12月16日に、文化庁長官の認定を受けました。  本計画により、市内文化財の保存・活用・継承の促進につなげていきます。 問 生涯学習課文化財係 TEL 23-9264 基本理念 守り、活かし、そして未来へ伝える  市民一人ひとりが郷土への誇りと愛着を持ち、地域全体で文化財を守り、活用し、未来へ伝えていくまちを目指します。 本計画における文化財とは  文化財保護法により規定される、「有形文化財」、「無形文化財」、「民俗文化財」、「記念物」、「文化的景観」、「伝統的建造物群」の6類型の文化財のほか、埋蔵文化財や文化財を次世代へ継承する上で欠かせない文化財の材料製作・修理等の伝統的な保存技術等を対象としています。  また、類型に当てはまらない、地域で語り継がれてきた伝承(昔話)なども対象に含めるなど、従来の指定の枠に捉われず、地域にとって残すべき大切なものを幅広く対象としました。 基本的な方向性  策定にあたっては、令和2年度から協議会を立ち上げ、地域や歴史関係団体等の協力を得ながら文化財の洗い出しを実施。計画には、指定文化財に加え、2,989件の未指定文化財を新たにリスト化するとともに、市内文化財の現状と課題に基づき、課題解決の方針や具体的な対応措置(事業)を盛り込みました。  基本理念の実現に向け、「調査研究」や「保存・継承」、そして、多くの皆さんが郷土の文化財をもっとよく知れるよう、積極的な「公開」や様々な分野での「活用」を推進していきます。 3つの「関連文化財群」を設定  関連文化財群とは、指定・未指定にかかわらず、多種多様な有形・無形の文化財を、地域の歴史文化の特徴に基づくテーマやストーリー、関係性に沿って、一定のまとまりとして捉えたものです。  個々では価値や魅力が限られる文化財も、その文化財群の構成要素の1つとして新たに価値付けることで、相互に結びついた文化財の多面的な価値や魅力を分かりやすく発信し、効果的に活用することが可能となります。  本計画では、自然や地理的環境、社会、歴史によって育まれてきた本市の歴史文化の特長を次の4つとして捉え、その特長から3つの関連文化財群を設定しました。 【本市の歴史文化の4つの特長】 ◎川がもたらす豊かな恵みと歴史文化  市内を流れる河川の豊富な水量は地域の生活基盤を成し、稲作の発展をはじめ、農産物の恵みや人の往来をもたらした。 ◎「境の地」における往来が生み出す歴史文化  東西・南北の道や河川の交わりにより人や物が行き交い、それらにまつわる文化が生まれ・伝わり・交わりながら、「境の地」を形成した。 ◎秋葉信仰と街道の歴史文化  秋葉山にまつわる秋葉信仰の広がりは、参拝の街道を発展させ、人々の往来が増加する中で、信仰にまつわる祭礼や風習を街道沿線に育んだ。 ◎自然災害への備えと復興の歴史  河川により形成された平野は豊かな恵みをもたらす一方、平坦な地形が高潮や河川氾濫による被害を増幅させるなど、人々は幾度となく自然災害を受けたが、その度に復興してきた。 【設定した3つの関連文化財群】 1 河川に育まれた平野の歴史と人々の祈り   (主な構成文化財) 大野命山、中新田命山、法多山田遊祭、冨士浅間宮田遊び祭、源朝長公御祭礼、木原大念仏、浅羽大囲堤、山梨祇園祭、マキ囲い など 2 道がもたらした人の往来と文化  (主な構成文化財) 袋井宿絵図、袋井宿開設お墨付、梅屋敷の看板、木製荷札(山名郡木簡)、秋葉線車両、中遠碑、久津部一里塚と木原一里塚、澤野医院記念館、法多街道、町石、天橋、たまごふわふわ など 3 火伏せの神の信仰と地域の連帯  (主な構成文化財) 可睡斎、秋葉の火祭り、秋葉信仰、秋葉街道、常夜燈、道標、秋葉講、火の見櫓 など 「つなげていく」ことが計画の第一歩  文化財を多くの人に知ってもらい、後世へと伝えていくためには、幅広い世代の理解と協力が欠かせません。  地域での保存活動やその担い手の確保・育成などに加え、観光や防災、教育、などの様々な分野とも連携し、その価値や魅力を広げていくことで、本市文化財の次代への確実な継承につなげていきます。  袋井市文化財保存活用地域計画の詳細は、市ホームページをご覧ください。 袋井市の文化財の概要と特徴  袋井市内の指定文化財は全部で86件(国指定文化財:6件、国登録文化財:4件、県指定文化財:16件、市指定文化財:60件)。種別では「建造物」が19件と最も多く、国の指定・登録、県の指定でも上位を占めています。有形文化財の美術工芸品では、「彫刻」に属する仏像の指定が多いことが特長です。  未指定の文化財については、市民の皆さんの協力も得て、今回の計画策定で計2,989件を確認することができました。「美術工芸品」776件、「建造物」300件などに加え、市内を流れる川に架かる橋などの景観1,240件も「文化的景観」として未指定文化財に含めています。 ◎市ホームページなどを通じ、効果的に情報発信していきます  指定文化財の紹介をはじめ、今後は市内の歴史を時代ごとに整理したり、動画解説を加えたりするなどし、より分かりやすく本市文化財の魅力を発信していきます。 認定記念シンポジウムの開催  大河ドラマ時代考証担当の平山優さんによる基調講演やパネルディスカッション等を行います。文化財はもちろん、地域の歴史やその保存・活用・継承などに興味のある方は、ぜひご参加ください。参加無料です。 日時 3月12日(日) 午後1時30分〜 場所 月見の里学遊館1階 文字・文/ものづくりのワークショップルーム ※詳しくは、市ホームぺージをご覧ください。