P24 輝くふくろいの人 地元食材を使ったスイーツで多くの人を笑顔にしたい TREEBELL(山名町) 鈴木真信さん 「やはり一番やりがいを感じるのは、自分が丹精込めて作ったこだわりのスイーツをおいしそうに食べてくれるお客さんの顔を見たとき。自分がこれまで積み上げてきた経験を活かし、地元の食材の良さをより多くの人に知ってもらえるようなお菓子を提供していきたいですね」  お菓子作りをしながらそう語るのは、鈴木真信さん。都内高級ホテルのパティシエとしての経験もある鈴木さんは、2021年末に、山名町地内でスイーツ専門店「TREEBELL」を開業し、袋井産の抹茶などを使用したスイーツを提供しています。 パティシエになったキッカケ  おいしいものを食べることが好きだったという鈴木さんは、料理人を志し、18歳の時に故郷・袋井市を離れ調理師専門学校に入学し、和・洋・中全ての料理の基本技術、衛生管理などを学び調理師免許を取得。2年目からは、興味を持った西洋料理に特化したコースに進み、より高いレベルの調理技術を磨いていきました。 卒業後、20歳の時に、県内のホテルに就職。そこで製菓部門に配属されたことが、鈴木さんのパティシエとしての第一歩となりました。 「製菓部門に配属されることは全く想定していなかったので驚きました。学校でもお菓子作りについては、基本程度しか教わって来なかったので、最初はすごく不安でしたね。英語やフランス語で書かれているレシピの理解なども大変でした」  初めての本格的なお菓子作りに悪戦苦闘する中でも、鈴木さんは着実にパティシエとしての経験を積んでいきました。 一流ホテルで磨いた腕を袋井で  パティシエとして多くの研鑽を積んだ鈴木さんは、30代前半で都内の外資系ハイクラスホテルのオープニングスタッフに採用。より高いレベルの環境に自ら身を投じます。 「高い技術が求められ、全くミスが許されないプレッシャーの下で腕を振るうことができたことで、自分に自信を持つことができました」  多忙を極めながらも充実した日々を送り、一流ホテルで自他ともに認められるようになった鈴木さんは、今後の自分のキャリア形成や生き方について自問する日々を過ごしていました。そして40歳を過ぎた頃に地元・静岡県に戻る決断をし、新たなスタートを切りました。  県内に戻ってからも、パティシエとして自慢の腕を振るっていましたが、次のステップに進むために退職した矢先に新型コロナウイルス感染症が流行。終息が見えない不安な中でしたが、自分の信念を支えていたのは「料理や自分の技術で人を笑顔にしたい」という強い思いでした。  そんなとき、知り合いから声がかかり、故郷である袋井市で「TREEBELL」を開業することになったといいます。 「実は、いつかは自分の店を出したいという気持ちがありました。このタイミングで話をいただいたことで、『今やるしかない』と思い切って開業に踏み切りましたね」 袋井産の食材×パティシエの技  TREEBELLでは、抹茶やイチゴ、メロンなど袋井の産品を使ったスイーツがたくさん並びます。「袋井には良質な食材がたくさんあるということを帰郷して改めて感じました。ぜひ、多くの皆さんに袋井産の食材を使ったスイーツを食べて喜んでもらいたいですね」  今後も地元食材を使った新商品の開発に精力的に取り組みたいと話す鈴木さん。世界の一流を相手に仕事をしてきたパティシエの新しい挑戦に要注目です。