P22 輝くふくろいの人 ラグビーを通じて子どもたちに多くの体験を 市スポーツ協会タグラグビークラブ GM 野智良さん(田町) 「ラグビーは、『ONE TEAM』という言葉のとおり団結が求められる競技で、チームメイトを思いやる心を育みます。また、試合が終われば『ノーサイド』の精神で対戦相手へ敬意をもって接する紳士のスポーツです。このようにラグビーは子どもたちに多くのことを教えてくれます」  自身が関わる「袋井市スポーツ協会タグラグビークラブ」の練習を前にそう語るのは、野智良さん(52歳)。地域の子どもたちとラグビーを通じた様々な活動を行っています。 他にはないラグビーの魅力  ラグビーの経験はないという野さんですが、仕事で行っているグラウンドの芝管理の業務を通じて、ラグビーと関わるようになりました。 「初めて見た試合は、ヤマハ発動機ジュビロ(現・静岡ブルーレヴズ)の試合です。選手たちの体がぶつかりあう迫力に圧倒されるとともに、1つのボールをチームが一丸となって前に運ぶ姿に感銘を受けました」  また、ラグビーは人間形成にも影響を与えていると感じるようになったと野さんは語ります。 「選手や関係者と話をすると、気持ちのいい人ばかりでした。また、英国の将来のエリートが在籍する寄宿学校ではラグビーに積極的に取り組むと聞いています。これは、ラグビーを通して自分の役割を理解し、責任を果たすために考えて行動することを学び、将来ビジネスの世界で役立てるためではないかと思います」   子どもたちの「やる気」や「助け合う心」を意識して育てる  すっかりラグビーに魅了された野さんは、2018年に市スポーツ協会でタグラグビークラブを設立。 「RWC2015での日本チームの活躍やヤマハ発動機ジュビロが行うラグビー体験などを通じて、多くの子どもたちがラグビーに関心を持ちました。でも、様々な事情により希望する子ども達の全てがラグビースクールに入ることは叶いません。そこで、もっと気軽に参加できる受皿を作りたいと思い、設立しました」  クラブでは、勝つことよりも重視していることがあるといいいます。 「子どもたちを褒めてやる気を引き出すことを意識しています。また、幼稚園児も参加でき、小さい子がいることで小学生も相手に合わせるようになり、助け合う気持ちを育んでいます」  また、クラブではかつての強豪チーム「新日鉄釜石」の本拠地でラグビーが盛んな岩手県釜石市の子どもたちとの交流を実施。交流試合のほか、震災関連施設の見学など、災害の怖ろしさを肌で感じてもらう体験も行っています。   子どもの成長と親子の思い出のために  RWC2023を契機に、多くの方にラグビーに興味を持ってほしいと野さんは熱く語ります。 「日本代表の活躍を見て、多くの方にクラブの見学に来て欲しいですね。親御さんの参加も大歓迎です。子どもと一緒にボール遊びができる時間は限られています。クラブでの活動が子どもの成長の糧にも、親子の思い出にもなれば、こんなに嬉しいことはないですね」  ラグビーを通じた「人づくり」のため、野さんはこれからも前へ前へ進んでいくことでしょう。