P24 輝くふくろいの人 空き家を民泊にリノベーション!大好きな建築でまちづくりに貢献したい 民泊ニ七(袋井) 藤田亮太郎さん(右) 牧田 実夕さん(左) 「雨漏りをしていても、壁がはがれていても、心惹かれる空き家はたくさんあります。私たちの手で、空き家を『まちづくり』につながる素敵な施設に生まれ変わらせたいですね」  風情あふれる自慢の広い土間を眺めながらそう話すのは、藤田亮太郎さん・23歳と牧田実夕さん・23歳。ともに浜松市出身で、静岡理工科大学建築学科の卒業生です。市内にある旧東海道沿いの空き家をリノベーションし、今年2月に「民泊 二七」をオープンさせました。 対照的な2人の出会い  住宅のリフォームをテーマとしたテレビ番組が好きという理由で、それとなく建築学科に入学した藤田さん。一方、父が建築業の職人で、高校時代から建築を学んでいた牧田さん。対照的な2人は静岡理工科大学で出会い、授業を通して意気投合しました。牧田さんに連れられて全国各地の建築物を巡る中で、藤田さんも建築の奥深さに心を奪われ、建築にのめり込んでいったといいます。 ある出会いが大きな転機に  2人は大学3年生の頃から、様々な業種の方が集う袋井市内のアート拠点「樂土舎」で、ステージ設営などを通して空間づくりを学んでいました。そこで大きな転機が訪れました。 「大学4年生の時、民泊の経営者と出会い、『民泊は建物があれば少ない資金でも開業できる』と聞き、興味を持ちました。そんな中、偶然、旧東海道沿いの風情ある空き家のオーナーさんと出会いました。大学院への進学が決まっていましたが、めぐり合わせに運命を感じ、民泊の開業に踏み切りました」  そして、学業がひと段落した昨年9月、2人の挑戦が始まりました。 手探りのリノベーションがスタート  2人は、廃材や家具・家電を譲ってもらうなど工夫を凝らし、アルバイトで貯金した限られた資金でリノベーションを進めていきました。 「素材を生かしつつ、傷んだ部分をしっかりと直しました。特に雨漏りの修理には苦労しましたが、原因を特定するために2人で何度も屋根に水をかけたのは、今となってはいい思い出です」  そして、地道な努力の末、2月にオープンを迎えました。宿名は、袋井宿が東海道五十三次の真ん中・27番目に位置することから、「民泊 ニ七」と命名しました。 オープンから程なく、想定外の展開に  毎週一定数の予約が入り、順調に営業を続けていた4月、思いもよらぬ展開となりました。建物のオーナーと今後の契約更新について話し合う中で、来年3月をもって、この建物での営業を終了することが決定したのです。 「話し合った結果なので納得はしています。でも、『民泊 ニ七』をさらにいい宿にしたいという心の炎を消しきることができず、悔しい気持ちが残っています。絶対に、『民泊 ニ七』をこのまま終わらせません」 常に挑戦を続ける2人  2人は現在、「民泊 ニ七」の営業のかたわら、移転先の空き家探しや移転資金を集めるためのアルバイトに励むなど、忙しくも挑戦にあふれる日々を送っています。 「実は、まだまだ挑戦したいことがたくさんあります。まずは、来春を目途に袋井の地で『民泊 ニ七』を移転オープンすることが目標ですが、いずれはカフェやギャラリーもやってみたいです。民泊に限らず、空き家問題を解決しながら、まちの活性化につながる取組をしていきたいですね」  若い2人の挑戦はまだ序章。「空き家問題」×「2人のデザイン力」でどのようなものが生まれるのか、楽しみですね。