P24 輝くふくろいの人 高校最後の夏、夢の「日本一」を叶えた剣道部主将 磐田東高等学校3年生 藤雄龍來さん(上山梨) 「自分が勝たないと、チームは負け ――そんな切迫した状況下での決勝戦でした。それでもプレッシャーに打ち勝てたのは、自分の『日本一になる』という強い意志、そして一緒に頑張ってきた仲間のおかげです」  そう語るのは、藤雄龍來さん・18歳。「第72回全国高校剣道大会・広島インターハイ剣道2025」(以下、インターハイ)において磐田東高等学校剣道部を主将として率い、静岡県勢による剣道インターハイ初優勝という快挙を達成しました。 剣道は幼少期から  藤雄さんは、剣道指導者の父やその下で練習する姉の姿に憧れ、5歳の頃に剣道を始めました。剣道に魅了され、着々と実力をつけていった藤雄さんには、いつしか「剣道で日本一になる」という目標が芽生えたといいます。 「日本一になるために、剣道の強豪校である磐田東中学校・高等学校に進学しました。中学生の頃から高校3年生と一緒に練習をすることで、体格差で負けない術を学んでいきました」 新チームでの挑戦  良い指導者や仲間たちに恵まれ充実した日々を過ごしていた藤雄さんでしたが、辛い時期も経験したといいます。 「高校2年生の時、団体戦のメンバーが変わりました。新体制では思うような成果が出ず、日本一にはほど遠い悔しい結果が続きましたね」  それでも互いを信じて練習を重ねた結果、小さな大会で優勝。それを転機にチームが軌道に乗り始め、勝利を重ねていきました。 努力の末つかんだ、念願の日本一  高校3年生になり、団体戦のチームは高校1年生から苦楽を共にした同級生を中心とした編成に。そしてインターハイでは結束力を生かして勝ち進み、明豊高等学校(大分県)との決勝戦の舞台に立ちました。藤雄さんは、最後に戦う『大将』。大将戦は、勝者数は引き分け、勝ち点は1点差で負けという状態で幕を開けました。 「勝ち点で負けているので、引き分けも許されず、とにかく自分が勝つしかない状況でした。ひたすら攻めの姿勢で、『これが最後のチャンス。自分が絶対とる!』という思いで、相手に必死に食らいつきました」  そして見事、その攻めの姿勢が功を奏し、藤雄さんが勝利。チームは念願の日本一に輝きました。  なお、藤雄さんは個人の部においてもベスト8まで進出しました。  その後、「国民スポーツ大会第46回東海ブロック大会」でも静岡県チームの一員として優勝。本戦では、初戦で開催県・滋賀県勢に敗れましたが、藤雄さんは大将として、チーム唯一の白星を挙げました。 これからも日本一に  夢の「日本一」の座を獲得した藤雄さん。今後の後輩たちの活躍に期待が膨らみます。 「夢を追い続けられたのは、同じ目標に向かって頑張った仲間たちがいたからです。後輩たちも部員同士で切磋琢磨して高め合い、ずっと『日本一』であり続けてほしいです」  藤雄さんたちの思いが後輩たちに引き継がれ、若い挑戦者たちの夢はこれからも続いていきます。