P24 輝くふくろいの人 アジア大会の表彰式楽曲に選出!こころに寄り添う新星作曲家 愛知県立芸術大学4年生 石上博文さん(可睡の杜) 「音楽は、努力する人の姿や、その思いを表現できる媒体です。今回、アジア大会の舞台で自分の作曲した音楽が流れると聞いた時は、自分の曲を認めてもらえたようでとても嬉しかったです。聞く人の心に寄り添い、希望を届けられるような作曲家であり続けたいです」  凛とした姿でそう話すのは、愛知県立芸術大学に通う作曲家の石上博文さん・23歳。石上さんが作曲した楽曲が、今年9月〜10月にかけて開催されたアジア最大のスポーツの祭典「第20回アジア競技大会(2026/愛知・名古屋)」(以下、アジア大会)の表彰式楽曲に選出されました。 作曲のきっかけは負けず嫌いな性格から  小学校低学年のころ、両親にすすめられ市内の楽器店でピアノを習い始めた石上さん。その教室のイベントで作曲に初挑戦しましたが、思うように評価されませんでした。 「元々負けず嫌いなのか、できないことがあるとできるようになりたいと思うんです。作曲ももっと上手になりたくて、ピアノ教室に加えて、作曲方法などを基礎から学べるコースにも通い始めました」  中学3年生まで音楽を学び続けましたが、高校受験をきっかけに、一度は音楽から離れた石上さん。それでも、将来の進路を考える中で、「自分のやりたいことを仕事にしたい」という思いが強くなっていきました。 「ピアノにあまり触れなかった高校3年間のブランクもあったので、進路を考えたときは正直悩みました。それでも、自分の好きな音楽を仕事にしたいという思いがあり、ピアノでプロを目指すよりも、大学で『作曲』を 専門的に学びたいと思ったんです」  大学入学に向けては、石上さん自ら指導を頼み込んだ音楽のプロたちに支えられながら、たゆまぬ努力を重ねました。その努力が実を結び、見事難関を突破。夢にみた「作曲」の世界に飛び込みます。 こだわりぬいた楽曲。ついに完成  そして大学3年生の秋、教授からアジア大会の楽曲募集の話を持ちかけられ、石上さんはさらなる挑戦を求めて応募を決意しました。構想から約1か月、ついにアジア大会の表彰式楽曲となった「凱歌 〜挑み続ける者達へ〜」が誕生します。 「曲の冒頭は、祝福をイメージしてトランペットの駆け上がる音から始めよう、どんな環境で流れても音がしっかり届くように曲の起伏を工夫しようなど、何日も構想を繰り返して制作した一曲です。 この曲には、賞の有無に限らず、努力や苦悩をされてきた全てのアスリートの皆さんとそれを支えてきた方々への敬意が込められていて、この曲を聞いて、選手たちの背景に目を向けるきっかけにしてほしいと願って制作しました。 実際に曲を聞いた元オリンピアンの方から『当時のことを思い出して泣きました』と言ってもらえたときは、自分が目指す『人に届く音楽』をつくることができたと実感し、達成感でいっぱいになりました」 「人に届く音楽」をつくり続けたい  現在は大学院進学を目指し、勉学と作曲活動に多忙な日々を送っている石上さん。すでに編曲の依頼が来るなど、プロとしての活動もスタートしています。 「目標は、どんなジャンルも器用にこなし、かつ自身の表現を確立した作曲家になって『人に届く音楽』をつくり続けること。自分が書いた曲を多くの人に演奏してもらい多くの人に届けられたら、これほど嬉しいことはありません」  自らの好奇心と情熱を原動力に、挑戦の壁を乗り越えてきた石上さん。その才能と努力が織りなす旋律は、これからも人々の心に響き、新たな感動を届けてくれることでしょう。