P02-03 市民と行政のパートナーシップによる地震対策A 津波から避難するためにも 地震の揺れから身を守ることが第一 東日本大震災を受け、地震に対する不安や地域の課題・対応策などについて話し合う「地震対策地域意見交換会」が 各地区で実施され、「まずは、自分の命は自分で守ることが重要」「津波や液状化の被害が心配」といった意見が寄せられました。 今回は、浅羽南地区の地震対策の取り組み状況や「津波」「液状化」の対策などを紹介します。 問 防災課防災係 TEL44-3108 市民協働課協働推進室 TEL44-3158 浅羽南地区「津波から命を守る幸浦プロジェクト」 浅羽南地区は、浅羽海岸沿いに位置する地区で、ほとんどの自治会が海岸から2q圏内にあります。さらに、周辺に高台や高層建築物などがないため、市内で最も津波被害を受ける危険度が高いと想定される地区です。  このため、東日本大震災の教訓をもとに、浅羽南地区の住民の命を守ることを目的として、「津波から命を守る幸浦プロジェクト」を設立しました。  市の災害対策本部浅羽南支部、地域防災指導員、自主連合防災隊、避難所施設や地域のグループの代表者、民生委員児童委員、学識経験者などで構成されるこのプロジェクトでは、地区としての津波対策についての課題や対応策を出し合い、市の防災計画見直しに対して提言をしていきます。  月2回実施する会議では、課題に対する対策の中から「短期的に対応できるもの」「中期的に実現するもの」などを区分けし、工程表を作成して津波対策に取り組んでいきます。 ■これまでの取り組み経過 ▽住民意識調査の実施(4月24日)  浅羽南地域づくり推進協議会が主体となって、地区住民153人を対象に、耐震補強や家具固定の実施状況、非常持ち出し品の準備状況、家族との連絡方法、地震のときに心配されることなどを確認する「地震防災対策に関する意識調査」を実施しました。 ▽第1回プロジェクト(5月15日)  地区の地形や標高などの確認を行うとともに、同笠海岸や命山、中新田排水機場などの水門の現地視察を行い、現状認識を深め、情報の共有化を図りました。 ▽津波避難訓練実施(5月21日)  湊東自治会では「12mの津波が海岸に到達し、防潮堤を越えて、海岸から2qの範囲で浸水する」という独自の想定のもと、10分間でどこまで避難できるかを実証する訓練を実施しました。  そのほかの地区でも、避難時間や避難経路の障害物確認などを取り入れた避難訓練を実施し、訓練後は、現状認識と課題の整理を行う学習会を行いました。 ▽第2回プロジェクト(6月1日)  意見交換会により、津波避難訓練の実施結果と課題の洗い出しを行いました。 ▽第3回プロジェクト(6月21日)  津波避難訓練や第2回プロジェクトを通じて出された意見を集約し、短期・中期・長期的課題に区分する整理を行いました。 〜地域の意見〜 自主連合防災隊長に聞きました 浅羽南地区自主連合防災隊長 安間登さん ◇地区内に、3か所の津波避難所が欲しい。浅羽南小学校に外付けの非常階段を設置して、屋上に避難できるようにしたい。また、中新田・大野地区に1か所、湊地区に1か所避難所があると心強い。 ◇津波から避難するためにも、まずは、地震の揺れから身を守ることが第一。住宅の耐震補強や家具の固定などの事前対策を進めていきたい。 ◇津波避難の際、災害時要援護者の誘導をどう行えばよいか検討が必要。 袋井地区自主連合防災隊長 鎌田稔夫さん ◇どこかで『自分は地震の被害者にならない』という意識がある。一人ひとりの意識改革が必要。 ◇まずは、『自分の命は自分で、家族の命は家族で、地域の命は地域で守る』ことが重要。 ◇災害発生後の食糧や飲料水、常備薬などの確保が必要。 ◇発災時の安否確認に備え、地域の世帯台帳整備が必要。 ◇東日本大震災の実際の経験談を、市の地震対策に生かして欲しい。 三川地区自主連合防災隊長 寺田進彦さん ◇三川駐在所の職員から、被災地の遺体安置所での勤務体験を聞き、命の大切さを再確認した。 ◇三川地区は、山名公民館が救護所となっているが、橋の崩落などの被害があると、搬送が大変困難となる。 ◇地区の人的被害を最小限に抑えるため、今年度は『寝室家具の固定』による転倒防止を徹底して取り組んでいきたい。まずは、寝室家具の固定についてのアンケートを、三川地区の全世帯対象に実施したい。 災害時に心配なことは? 「津波」「液状化」との回答が多数 ■津波被害 〜これまでの想定と、これからの想定〜  これまで、津波による被害や対策は、県の第3次地震被害想定に基づいて検討されていました。  しかし、「地震対策地域意見交換会」では、これまでの想定と、東日本大震災での津波被害を目の当たりにした市民の皆さんの認識との格差が浮き彫りとなりました。 ■今後の津波対策  意見交換会や津波避難訓練を通して、これまでの想定を見直しつつ、自分たちがやらなければいけないことを意識した上で、各地域独自の想定や避難方法について検討が進められています。  こうした取り組みを受け、市が開催する「津波被害軽減対策検討会」でも、避難経路・避難施設の確認などを進め、地域との連携を強化した対策を行っていきます。 ■液状化被害  液状化とは、砂質土がゆるくたい積して出来た地盤が、地震などの振動を受けることによって液体のような泥水状態になってしまう現象のことです。  県の第3次地震被害想定によると、袋井市内では、市域の62・6%で液状化の危険性があると予想されています。 ■液状化被害の減災対策  液状化による建物の倒壊や、建物の傾きによる家具の転倒を未然に防止するため、建物の耐震診断や耐震補強、家具の転倒防止を行いましょう。  市では、無料耐震診断の実施や、補強計画の作成・耐震補強工事の実施、地震の被害防止や軽減を目的とした家具の固定事業に補助金を交付しています。  詳しくは、お問い合わせください。 ▽耐震診断・耐震補強の補助…市役所3階建築住宅課建築指導係(TEL44-3123) ▽家具固定事業…市役所4階防災課防災係(TEL44-3108) 津波警報・注意報が発表されたら ◇すぐに高台などの安全な場所に避難しましょう。 ◇ラジオやテレビ、同報無線などで、正しい情報を聞きましょう。 ◇津波警報・注意報が解除されるまでは、海に近づいてはいけません。 ◇津波は繰り返し襲ってきます。第1波よりも第2〜3波の方が高いことがあります。 できることから始めよう 家庭でできる防災対策  各地域では、様々な地震対策の取り組みが進められています。  各家庭でも『まずは、自分の命は自分で守ること』をキーワードに、できることから取り組んで、地震に備えましょう。 ■家庭でできる防災対策 ◇就寝時の地震から命を守る「寝室家具の転倒防止」 ◇地震発生後の生活に備えた「非常持ち出し品の準備」など 非常持ち出し品の準備はしていますか? ◇地震発生後の生活に備え、各家庭で非常持ち出し品などは準備してありますか? 非常持ち出し品は、家族構成を考えて、必要なものを用意しておきましょう。 非常持ち出し品の例 ヘルメット、防災頭巾、毛布、寝袋、懐中電灯、手袋(軍手)、タオル、ちり紙、ろうそく、ライター、ラジオ(電池)、非常食、飲料水、ナイフ、缶切り、救急薬品、常備薬、下着類(着替え)など ◇赤ちゃんやお年寄りがいる場合は、ミルクや紙おむつ、介護用品なども用意しましょう。 ◇飲料水は最低3日分(1人あたり38/日)、食料品は7日分(うち3日分は非常持ち出し)を用意しましょう。 「被災地を応援する袋井市民の会」"オール袋井"体制による被災地支援  6月18日、被災地の1日も早い復旧復興を願い、市民が思いをひとつに、"オール袋井"体制で支援に取り組むため、自治会連合会、商工・農業団体、市民団体など、市内25の各種団体が集まり、「被災地を応援する袋井市民の会」設立総会が開催されました。  民間の積極性と行政の安定性の相乗効果のもと、お互いが良きパートナーとなって、被災地の復興に向けた取り組みを行っていきます。 これまでに実施した活動 ◇袋井市災害ボランティアの会「東日本大震災 災害ボランティア活動」 6月30日から7月3日まで、会員13人が岩手県へ赴き、「遠野まごころネット」(遠野市被災地支援ネットワーク)に協力し、家屋の片付け、がれきの撤去、土砂のかき出しなど、被災地のニーズに応じた支援活動を実施しました。 今後予定されている支援活動 ▽袋井商工会議所…復旧・復興活動に携わった方たちを「ふくろい遠州の花火」へ招待。岩手県釜石市の名産品を市内で販売 ▽市観光協会…支援金募金活動 ▽NPO法人静岡県災害支援隊…被災地での支援活動  など 市内で活動中の団体の皆さん、是非、「オール袋井」で釜石市・岩沼市・東北地方の支援をしませんか? 皆さんの参加を心からお待ちしています。 問 企画政策課企画係 TEL44-3105