Vol.03 バージョンアップと機能拡張がもたらした鉄工事業者の月12時間分の業務削減
市内事業者のデジタル化の事例を紹介します
バージョンアップと機能拡張で月12時間以上の削減に成功!
事業者概要
事業所名 | 有限会社佐藤鉄工 |
所在地 | 袋井市堀越544-1 |
デジタル |
専務取締役 |
従業員 | 1人(役員:3人、令和6年2月1日現在) |
業種 | 建築業 |
創業 | 平成2年 |
取り組みの内容
見積書の作成や関係者への資料作成の時間を削減すべく、見積積算ソフトのバージョンアップと施工図ソフトの機能を拡充した。
活用したデジタルツール
- 【S/F 見積積算4】
- 【S/F Arris4】
(いずれも株式会社ドッドウェル ビー・エム・エス)
〇ツールの概要
- 部材情報だけでなく、製品としての情報も連動、修正や変更による集計もリアルタイムに処理する見積積算ソフト
製品ホームページ
https://www.dodwellbms.co.jp/product/sf/products/mitsumori4/
- 専用CADと円滑に連動し、作図業務をスムーズにする鉄構業向け汎用CADソフト
製品ホームページ
https://www.dodwellbms.co.jp/product/sf/products/arris4/
取り組みによる成果
- 作成に要する工数を削減し、見積書の作成時間がの2時間削減
- ソフトウェアの機能拡充で、操作の一元化による効率化で作業時間が10時間削減
- 図面と見積書の連携がスムーズになったことで、正確性が上がり見積書の精度が向上
事業者へのインタビュー
施工図・見積りソフトを導入しデジタル化しているが・・・

袋井市職員A
これまでの業務について教えてください。

有限会社佐藤鉄工
専務取締役
佐藤大佑さん
(以下、佐藤さん)
私たちは建築時に必要な図面を作成し、部材や材料の量なども算出することが出来るCADを使っています。
以前は、CADの機能が少なく、画面を切り替えたり、別のソフトを使ったりして資料を作っていました。見積積算ソフトも、CADから図面の情報を取り込んで見積書を作ることはできましたが、最終の積算に時間がかかっていました。
実際に触れることで導入を決意

袋井市職員A
導入のきっかけはどんなものだったのでしょう?

佐藤さん
CADや見積積算ソフトは、以前から使っていました。CADと連動させると積算業務がほぼ自動でできるので、便利でした。しかし、事業が拡大するにつれて、効率や正確さをさらに高める必要が出てきました。
そんな時、ソフトメーカーの営業さんから体験会の案内を受けました。業界の仲間からも新しいCADや見積積算ソフトについては聞いていたので、参加しました。実物を触ってみると、すぐに「これだ!」と思いました。体験会が導入の決め手になりましたね。
新しい見積積算ソフトの扱いやすさはもちろん、新しいCADについても、体験会の際、機能の充実さに驚きました。今まで行えなかった、立体図や部材の細かな情報を1つの図面で表現できるようになった事はとても魅力的でした。

体験(デモ)をした上での購入となり、「とても納得感があった」と佐藤さん。※情報保護の観点から一部画像を加工しています。
手間が多く作業時間や正確性を改善したい

袋井市職員A
以前はどんな問題点がありましたか?

佐藤さん
見積積算ソフトの問題点は、二つありました。
一つ目は、修正の際に「情報の拾い落としが発生すること」です。部材の追加等修正した後、見積積算ソフトで再読み込みし忘れると、見積書の内容が図面と一致しなくなります。これは、見積もりの精度やお客様の信頼に影響します。
二つ目は「複数工程により時間を要すること」です。修正内容を経費に落とし込むためには、情報更新のために10回以上画面をクリックする必要がありました。これは、時間や労力の無駄であり、事務ミスの原因やストレスにもなりました。
CADの問題点は、「図面の作成や説明に時間を要すること」でした。
建物を完成させるためには、多くの人たちが関わります。私たちのほかにも、工事を管理する人、施工する人、図面に慣れていない運搬業者さんや鳶業者の方もいます。
その人たちに作業をスムーズに進めてもらうため、図や表などを用いて分かりやすくしました。しかし、CADの機能が限られていたので、ExcelやPDFを使って資料を作っていました。それらの資料を作るのには、画面を何個も開く必要があり、複雑で時間がかかっていました。

更新する画面が多い分、処理を忘れていないかと不安になることもあるとのこと。

デジタル化はしているものの、クリック数が多く煩わしさを感じていた。
作業時間の短縮や品質の向上が実現

袋井市職員A
導入の効果はどんなときに感じますか?

佐藤さん
新しい見積積算ソフトとCADの導入によって、これらの問題は解決しました。まず、時間の短縮です。見積書作成や確認の時間が、月に2時間程度短縮されました。
次に、CADの操作が一元化されました。1枚の図面に立体図や表などを挿入することができ、多くの情報が伝えられるようになりました。運搬業者さんや鳶業者さんだけでなく、一般のお客様にも直感的に判断してもらいやすくなりました。説明や打ち合わせもスムーズになりました。以前は、直接出向いて口頭で説明する必要がありましたが、今は、メールで図面と見積書を送るだけで済むようになりました。これにより、交通費や時間が節約でき、月に10時間程度の時間短縮ができました。
最後に、品質の向上です。新しい見積積算ソフトは、見積書の内容が一括で更新されるため、情報の拾い落としや齟齬(そご)がなくなりました。これにより、見積もりの精度や信頼性が高まりました。CADでは、情報が一元管理できるため、図面の作成時に効率や利便性が向上しました。よりお客様にとっていい仕事ができていると感じています。
今ある設備の拡張で導入後もスムーズに

袋井市職員A
買い替えではなく、バージョンアップや機能拡張という手段のメリットはありましたか?

佐藤さん
機能の拡張は、今までの延長で業務ができるため、慣れるのが早かったです。新しい見積積算ソフトは、Excelに似た入力方法だったため、初めからスムーズに操作ができました。今まで課題だった部分が改善されるとともに生産性が向上し、導入のコスパが良かったと思います。
次代の子どもたちのためにも

袋井市職員A
デジタル化を活用して様々な業務が改善されましたね。今後事業をどのように展開されたいですか?

佐藤さん
静岡県は地震が多い地域です。私が子どもの頃から、大地震の危険性を聞かされてきました。だからこそ、佐藤鉄工が造る建物は「将来にわたって安心安全に使ってもらいたい」という思いがあります。デジタル技術を活用することで、効率性だけでなく、安全性も高めています。運搬業者さんや鳶業者さんなど、多くの人たちと協力して作り上げる建築業界だからこそ、みんなが統一した考えを持つことで、安心安全な建物が完成すると確信しています。自分の子どもたちの代までしっかり使ってもらえる建物をこれからも造っていきたいですね。

「将来にわたって安心安全に使ってもらいたい」と語る佐藤さん

デジタル技術を活用する中で、効率化や安全性、事業者間の意思統一などを図り、自分の子どもたちの代までしっかり使ってもらえる建物をこれからも造ってという強い思いが伝わってきました。
この記事に関するお問い合わせ先
産業未来課産業政策係
〒437-8666
静岡県袋井市新屋1-1-1
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ファクス:0538-44-3179
メールアドレス:sangyou@city.fukuroi.shizuoka.jp
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更新日:2024年03月25日