『伊勢大神宮おかげ 御蔭摂待寄附帳』

更新日:2023年10月19日

袋井市指定文化財民俗有形文化財

『伊勢大神宮おかげ 御蔭摂待寄附帳』

『伊勢大神宮おかげ 御蔭摂待寄附帳』表紙

 『伊勢大神宮おかげ 御蔭摂待寄附帳』は、昭和62年(1987)5月11日に、袋井市指定文化財民俗有形文化財に指定されました。
 『袋井市史 史料編二 近世』(袋井市、1982年)195号文書として、pp.560-562に収録されています。
 現在、袋井市指定の民俗有形文化財は4点ありますが、いずれも、庶民の信仰を今に伝えるものとして、同日にまとめて指定されました。

お蔭参り

 江戸時代、日本各地に「伊勢講」というものがありました。みんなでお金を出しあい、くじ引きで選ばれた者が、講を代表して伊勢神宮に参宮する、という、「代参講」とよばれるものです。
 そうした代参の他、周りに許可を取らずに参詣する「抜け参り」や、定期的・集団的に発生する「お蔭参り」という形態の参詣がありました。
 「お蔭参り」は、道中、沿道の人達が、無料で様々なサービスをしてくれることから「お蔭」という名前が付きました。
 江戸時代には15回のお蔭参りが確認されていますが、その中でも著名なのは、文政13年(1830)のものでした。そして、『伊勢大神宮おかげ 御蔭摂待寄附帳』は、文政13年のお蔭参りにおける、街道の人々の援助を記録した、寄付帳簿なのです。

庶民の信仰、そして、近隣の村々の協力を示す史料

 表紙を見ると、「摂待」と書かれているようです。一瞬、「接待」の誤字かな? と思ったのですが、調べてみたら、「接待」も「摂待」もどちらも正しいのだとか。もともとは、功徳のために施しをすることを指す言葉です。
 文政13年のお蔭参りで、見取村は、見付などの近隣の村々と合同で、旅人一人につき12文ずつを寄付したのですが、そのお金を集めた時の帳簿です。
 その他にも、「おかげ籠」(正体不明ですが、おそらく無料で人を運んだサービスでしょう)など、近隣の村々が、様々な摂待をしたようです。
 お蔭参りという特殊な状況下で、普段はあまり表に出ない、近隣の村々の協力が記された貴重な史料です。

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静岡県袋井市浅名1028
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