堤上置并道置土についての裁定書

更新日:2022年07月15日

袋井市指定文化財古文書

 「堤上置并道置土についての裁定書」は、昭和53年(1988)11月9日に文化財に指定されました。
 文書の内容は、『袋井市史 史料編二 近世』126号(pp.480-481)として活字化されています。

史料の内容

この文書の内容は、小山村と土橋村との間にあった堤に関する相論です。
 土橋村が、自分たちの側の堤と堤につながる道の上に置土をし、水か来ないようにしたので、小山村に水がたまるようになってしまった、と、小山村が訴訟を起こしました。
 双方の証拠書類に不正が見つかり、検分が行われた結果、地形の都合上、小山村は水害が多く起こり、土橋村は、水が堤を越えてきても被害が少ない、との事実が分かりました。
 また、土橋村の、「代官に置土について申請している」という主張が虚偽だと判明したことが問題となり、土橋村の置土は全て撤去するように、との判決が下されました。

現代と江戸時代との堤防に関する意識の違い

 「堤上置并道置土についての裁定書」では、土橋村の側に水が流れてもほとんど被害が無いから、ということが、判決の一つの根拠となっています。
 実は、江戸時代には、水害について、自然を完全にコントロールするような防災は考えられておらず、ある程度の被害を前提に、水を逃がして勢いをそぎ、全体的な被害を減らす、という考え方がされていました。
 ですから、水が流れても被害がほとんどないところに水を逃がす、ということが行われました。その考え方が、この文書の判決にも影響しています。
 当然、水を流される方はたまったものではないので、反論をします。
 それが、江戸時代の文書に、堤に関する相論が多い理由なのです。

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