袋井市文化財保存活用地域計画の概要
袋井市の歴史文化の特徴
1.川がもたらす豊かな恵みと歴史文化
市内には太田川や原野谷川を代表とする大小 18 余りの河川が南北に流れ、豊富な水量は 地域の生活基盤を成すとともに、川の周辺には多くの自然堤防が形成され、弥生時代以降、 人々の生活の場となり稲作の発展をもたらしました。東海道や秋葉街道もこの自然堤防上 に立地しており、人々の往来をもたらしました。
ア 市内を南北に流れる太田川・原野谷川を中心に、豊かな平野が形成された
イ 弥生~中近世の開発によって、豊かな穀倉地帯が生み出された
ウ 農業用水としての扱いを巡って、しばしば地域内に争いが起こった(「仲井用水」関係相論文書・「中畦堤」関係相論文書など)
エ 市内の沿岸部の「とうもん」と呼ばれる水田が一面に広がる田園風景
とうもん
2.「境の地」における往来が生み出す歴史文化
東西方向と南北方向の道や河川が交わる袋井市は古代より、人や物が行き交うとともに、 それらにまつわる文化が生まれ、伝わり、交わりながら「境の地」を形成しました。
ア 銅鐸文化の東の境の地(弥生時代)
イ 横穴式石室と横穴墓の埋葬形態の分布域の境を示す地域(古墳時代後期)
ウ 近江と対比される「遠江」(古代)
エ 東西に横断する東海道と南北を縦断する秋葉街道・秋葉線・駿遠線
静岡県西部における銅鐸の出土地
3.秋葉信仰と街道の歴史文化
秋葉山にまつわる秋葉信仰は、静岡県西部に留まらず東海、更には全国へと広がりを見せました。信仰の広がりは参拝のための街道を発達させ、人々の往来が増加するなかで、 街道沿線に秋葉信仰にまつわる祭礼や風習を育みました。
ア 袋井宿から北に向かい、山梨地区から三川地区を抜けていく秋葉街道の発達
イ 秋葉街道の常夜燈として、現在まで石製の灯篭や、木製の覆屋を備えたものなどを含め 49 基が残り、新屋地区では秋葉講が僅かに残っている
4.自然災害への備えと復興の歴史
河川が形成した平野は豊かな恵みをもたらす一方、氾濫や地震発生時には軟弱地盤によ って液状化をもたらし、沿岸部では平坦な地形が、高潮や河川氾濫による被害を増幅させるなど、人々は自然災害を幾度となく受け、復興してきました。
ア 古代より地震による地割れや土地の沈下など大きな被害を受けながらも復興し、人々は再び同じ土地に住み続けてきた
イ 中世以降、河川の氾濫や高潮の被害を受けながら、耕作域の拡大をしつつ発展してきた。中畦堤や大囲堤は、災害復興の過程から成立してきた
ウ 江戸時代に、水害から地域住民の命を守るための避難施設として大野命山や中新田命山が築かれた
文化財をまもっていくために
1 袋井市の文化財保存活用の基本理念
『守り、活かし、そして未来へ伝える』
市民一人一人が
郷土への誇りと愛着をもち
地域全体で文化財を守り、活用し
未来へ伝えていくまち
2 基本的な方向性
(1)調査研究の方向性
地域にある文化財の内容を適切に把握するため、文化財の調査研究を、専門家の指導を得て、地域を最もよく知る地元住民と協力しながら、地域全体で進めます。
こうした取組に際しては、当市の特徴でもあるまちづくり協議会や、幼小中一貫教育に おける学園などの体制や枠組が欠かせないものとなります。
(2)保存・継承のための方向性
未指定文化財を含めた地域の文化財について、コミュニティセンターや、まちづくり協議会などと連絡体制を密にして協力体制を築きます。その上で、地域の協力を得て、社会全体での文化財の保存・継承につなげます。 また、祭礼などを含めた文化財の保存・管理における担い手などの人材確保は急務であることから、幅広い世代の市民が意識を持ち、人材の育成につなげる必要があり、当市の教育の基本である幼小中の一貫教育と、これを支える「学園」の体制を活用し、地域との関わりを深めることを促進していきます。
(3)公開・活用の方向性
地域の文化財の魅力を、地域に住む市民にまず理解してもらうことが重要です。そのため、文化財に関する情報の発信を積極的に行い、公開・活用していきます。その際には行政だけではなく、興味をもった市民にも協力してもらう体制づくりに努め、幅広い世代に 文化財への関心と関わりを持ってもらい、市民ひとりひとりが郷土への誇りと愛着を持つ よう、まちづくり協議会や、幼小中一貫教育における学園などと連携していきます。
基本理念概念図
計画における関係図
詳細については下記ページをご確認ください
この記事に関するお問い合わせ先
生涯学習課文化財係
〒437-1102
静岡県袋井市浅名1028
電話:0538-23-9264
メールアドレス:syougai@city.fukuroi.shizuoka.jp
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更新日:2023年01月04日